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2代目ピン子? “いびり役”で新境地の萬田久子

 平均視聴率が20%を超える高視聴率を叩き出しているNHK・連続テレビ小説『あさが来た』(月〜土 前8:00 総合ほか)。豪華かつ個性的なキャストで話題になることが多い本作品、なかでも最近注目されているのが、主人公の姉・はつ(宮崎あおい)の義母・菊役を演じる萬田久子の“嫁いびり”。『マッサン』での泉ピン子など、“いびり”が朝ドラのヒット要素となってきた。これまであまり“いびり”役の印象がない萬田久子は、同作で新境地を視聴者に披露してくれた。

『あさが来た』で主人公の姉をいびる義母・菊役を熱演している萬田久子 (C)ORICON NewS inc.

『あさが来た』で主人公の姉をいびる義母・菊役を熱演している萬田久子 (C)ORICON NewS inc.

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◆洗練された都会的な雰囲気だけに、“いびり役”のイメージがない萬田

 先日の放送では、主人公のあさがはつの元を訪ねて来たので、はつが外に出ようとしたら、「とにかく表出るのはあかん」と嫌がるはつを蔵の中に閉じ込めてニヤリ……。これまでの萬田には“いびり”のイメージがないが、今作での壮絶な嫁いびりは“伝説化”しそうだとの声もあり、注目を浴びている。

 萬田久子と言えば、“知的なデキる大人の女”といったイメージが一般的だろう。57歳の今にして元ミス・ユニバース出身のプロポーションと美貌を保持し、洗練された都会的な雰囲気を漂わせる、男女ともに人気の憧れの女優である。萬田は1980年、NHKの朝ドラ『なっちゃんの写真館』で女優デビュー。これまで3作の朝ドラに出演するほか、『徳川家康』を始めとする大河ドラマにも4作品出演するなど、NHKとは縁が深い。民放のテレビドラマにも数多く出演し、86年のサスペンスドラマ『OL三人旅』(フジテレビ系)シリーズで一気に人気上昇、同シリーズはフジテレビの代表的な2時間ドラマとして語り継がれている。以後、洒脱な都会劇から、NHK大河ドラマや『大奥』(フジテレビ系)などの時代劇まで、幅広い役柄をこなしてきたが、“いびり役”となるとあまり記憶にない。

 当の萬田は、制作発表の記者会見で「(泉)ピン子さんの写真を胸に抱いて(撮影に)臨もうかしら」と発言するほど、ノリノリだった。それは、『マッサン』で泉ピン子が「外国人の嫁など認めません!」と主人公・エリーをいびり倒す怪演ぶりが高視聴率に繋がったことも影響しているのかもしれない。

 その他、『花子とアン』で吉高由里子をイビる女学校の先輩役・ハリセンボン近藤春菜や、『ごちそうさん』のの小姑役だったキムラ緑子など、“高視聴率の裏にいびりがある”ことは連続テレビ小説の世界ではもはや定説。いびりは朝ドラの“お家芸”とも言える、NHK得意の演出でもあるのだ。実際、日本のテレビドラマ史上最高視聴率62.9%(ビデオリサーチ調べ)を記録した『おしん』(1983年)にしても、幼少期の「大根メシ」に代表されるいびり、大人になってからの嫁いびり、また自分が姑の立場になるとしっかりと嫁をいびるなど、いびりのドラマだったと言っても過言ではない。

相武紗季など、“いびり役”は女優を進化させる格好の材料

 かつては、いびり女優に対するお茶の間からの風当りは強く、真剣な視聴者からの嫌がらせも多かったと聞くが、今はそれほどではないという。むしろ、容赦のない徹底したいびりぶりや、憎々しげな演技力に評価が集まる傾向があるとのこと。相武紗季なども、可愛らしいアイドル女優で終始していたかもしれないところを、『ブザー・ビート』(フジテレビ系)で性格の悪い嫌な女役を演じると、これがハマり、『マッサン』に至っては“第二のピン子”とまで言われるほど女優として開花。ある種、いびり役は女優を進化されるものなのかもしれない。

 ましてや今回は、あの萬田久子。颯爽としたオシャレな女性やお茶目なコメディ風、悲哀を滲ませた妙齢の女まで、幅広い役をこなし、重苦しい役柄を嫌味なくサラッと演じたかと思うと、女性の情念をドロドロと見せるなど、その役作り・演技力には定評のある大女優。プライベートでも、アパレルメーカー社長との不倫で一児を設け、周囲の猛反発を受けて、女優を引退する覚悟でニューヨークに飛び出産。以後、事実婚のまま活動を続け、2011年に伴侶が亡くなると、その喪主も気丈に務めた。要するに、公私ともに十分なキャリアを積んできているベテラン女優だけに、今回のいびり役でどのような演技を見せてくれるのか、ファンならずとも注目せざるを得ないところだ。

 実際、すでに始まっている萬田の凄まじいいびりの演技によって、はつ(宮崎あおい)に同情が集まっているという。それは取りも直さず、萬田の迫真の演技ゆえに、視聴者も自然にはつに感情移入してしまうからにほかならない。確かに萬田の本気度は、はつをいびった直後の何とも言えない憎たらしいニンマリ顔にも表われているかのようである。今後も回を追うごとに萬田のいびりはエスカレートしていくと思われるが、今までの女優人生で培った経験を総動員させることで、“いびり役”に定評ある泉ピン子らを抜く、伝説の“いびり役”になり得るかもしれない。

(文:五目舎)
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