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NGT48発足で“地方アイドル”の勢力図は変化するのか?

 AKB48グループの国内5つ目となる新グループが新潟に誕生することが、25日に東京ドームシティホールで行われた『AKB48リクエストアワー セットリストベスト1035 2015』最終公演で発表された。メンバーも決定しておらず、劇場もオープンしていないなか、早くも偽のTwitterが出現するほど、その動向に注目が集まっている。続々と48グループが地方に進出しているなか、新潟に新グループができることで、他の地方アイドルに今後どのような影響を及ぼすのだろうか?

新潟を拠点に活動するNegicco(左から)Kaede、Nao☆、Megu[動画番組『水曜のニョッキ』2014年8月6日掲載](C)ORICON NewS inc.

新潟を拠点に活動するNegicco(左から)Kaede、Nao☆、Megu[動画番組『水曜のニョッキ』2014年8月6日掲載](C)ORICON NewS inc.

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◆NGT48と地元アイドル・Negiccoは本当に対立構造!?

 プロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地の横浜スタジアムは、球団に課す使用料が高いとのことで、たびたび移転が噂されてきた。その移転先候補に挙がるのが新潟だ。北陸がプロ野球の空白地帯なことに加え、サッカーのアルビレックス新潟が2003年から3年連続で観客動員数Jリーグ1位など、成績に依らず屈指の人気チームになっていた。地元愛の深い土地柄は、フランチャイズとして心強い。

 そんなこともあり、AKB48の新たな姉妹グループが新潟に生まれる(NGT48)と発表されたのは、さほど意外でもなかった。もちろんスポーツとアイドルを同列には論じられないが、日本海側に48グループが不在だったことも含め、地方エンタテインメントの観点から良い狙いどころに思えた。また、新潟=米どころ=水がきれい=美人が多い……との定説もある。

 開発業者から「新潟の活性化のために」とAKB48運営サイドにオファーがあったとも報じられている。アルビレックスもサッカー熱の低かった新潟にあって、地元企業のバックアップを受けて様々な経営努力を重ねながら県民に根付かせた。NGT48はこれまでの姉妹グループよりは拠点都市の規模が小さいだけに、より地域との連帯がカギになるかもしれない。

 そうしたなか、12年前から活動している新潟の地方アイドル・NegiccoとNGT48の対決の図式がネットで論じられている。Negiccoはもともと新潟名産のやわ肌ねぎのPRキャンペーンのために結成された3人組。地方アイドルの先駆けだったが、当初は今と違いアイドルブームではなかったため田舎のイロモノ扱いされ、「ライブの控え室がゴミ置き場だった」「ステージが駐車場でマネージャーの車のヘッドライトを照明代わりに歌った」など、苦労話には事欠かない。

 だが、2011年にタワーレコードが新設したアイドル専門レーベル「T-Palette Records」の第1弾アーティストとなり、本格的な全国展開を開始。昨年12月発売のシングル「光のシュプール」は5位と大躍進。幅広い人気を得たNegiccoとAKB48グループのNGT48はどちらが上を行くのか? 芸能界のご意見番と言われるマツコ・デラックスは「Negiccoがかわいそうだよ。頑張ってきたんだよ、10年も。邪魔するなよ」とテレビで発言していたりもする。

◆ライバルグループの出現は、“相乗効果”で地方アイドルシーンの活性化に

 ただ、この対決、大手家電量販チェーンが地方都市に開店し、地元で古くから親しまれてきた電器店と争うような構図と見る向きもあるが、それは実情と違う。まずNegiccoの3人は新潟在住だが「今は東京での仕事のほうが多い」と言う。2月末からは全国14都市を回るツアーも始まる。新潟を拠点にしていても、実際の活動はもうご当地アイドルの範ちゅうを越えて広がっているのだ。NGT48は新たなライバルのひとつではあっても、地元で1対1で迎えうつ形にはならない。

 そもそも、NegiccoとNGT48で客層がカブるとも思えない。大括りでは同じアイドルだが、Negiccoは“戦わないアイドル”と呼ばれ、ゆるい感じの癒し系。田島貴男小西康陽西寺郷太らが楽曲プロデュースを手掛けるなど、良質な歌を届けることを身上にしている。NGT48はどんな路線になるかわからないが、48グループの例に漏れなければ、大人数で盛り上がるライブに主眼が置かれるだろう。

 Negiccoのメンバー・MeguはTwitterで「対決とかじゃなくて、一緒に新潟を盛り上げて行けたらいいなと思います」とつぶやいていた。それは偽らざる本音だろうし、必然的にそういう形になる気がする。他のAKB48グループの拠点でも、地方アイドルシーンはむしろ活性化している。2011年にHKT48が誕生した博多では、先行して活動していたLinQの人気が落ちることなくメジャーデビューした。ほかにも橋本環奈の所属するRev.from DVL青SHUN学園QunQunHR乙女の純情Shooting Star Girls-流星群少女-などが群雄割拠する全国有数の地方アイドル王国になった。

 SKE48の名古屋でも、ももいろクローバーZの妹分のチームしゃちほこを始め、NHKオンデマンド『全国ご当地アイドルランキングバトル』で1位になり、この3月にはメジャーデビューするOS☆U、Negiccoと同じT-Palette Records所属のしず風&絆〜KIZUNA〜、地元の寿司店がプロデュースするアイドル教室など、多彩なグループが活躍している。NMB48の大阪はアイドルが根付かないとされてきたが、NMB48より後発のたこやきレインボーが人気を高めていたり、NMB48結成前の2008年から活動歴のあるJK21が昨年メジャーレーベルで移籍第1弾シングルを発売している。

 48グループのファンにも、たとえば東京からHKT48劇場に行くなら、ついでにLinQやRevのライブも観て回る向きがある。商売の世界でよく「焼鳥屋は1軒だけあっても繁盛しない」などと言われ、同業店が並び客側に選択肢がある場所に人が集まるとされるが、それを地で行くような話だ。NGT48結成のニュースからNegiccoの名前が引き合いに出されていること自体、結果的に格好の宣伝になっている。この新潟対決、互いの相乗効果のほうが大きくなるはずだ。

(文:斉藤貴志)

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