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W杯代表選手であり俳優、2足のわらじで成功する秘訣とは

 永瀬正敏、坂井真紀、大沢たかおが出演する台湾映画『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』。同作で台湾野球チームのメインキャストに大抜擢されたのが、演技経験ゼロの現役大学生野球選手であり、U21ワールドカップ台湾代表でもあるツァオ・ヨウニン。同作で台北電影節(台北映画祭)の助演男優賞、同W杯で最優秀外野手を受賞。台湾ドリームを実現させた若きスター、ヨウニンに迫った。

『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』に出演するツァオ・ヨウニン。得難いチャンスをものにした台湾の新鋭スター

『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』に出演するツァオ・ヨウニン。得難いチャンスをものにした台湾の新鋭スター

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◆高校最後の試合の気持ちを思い出した

――ヨウニンさんは、台湾の高校3年生で野球部の選手をしていたときに、この映画のオーディションを知って、俳優に挑戦したそうですが、俳優をすることに関しての不安はありませんでしたか?
【ヨウニン】 すごく不安がありました。初めての演技で、しかも主要な役。演技経験はまったくなかったので……。自分が呉明捷(通称・アキラ)という役をうまく演じられなければ、映画全体に影響があるのではと大きなプレッシャーがありました。

――マー監督は「野球選手」「ルックスがよい」「役者としての素質」を重視して、俳優業未経験だった若いヨウニンさんを抜擢したそうですね。出演を決めたのは自分の意思ですか?
【ヨウニン】 全部自分で決めました。映画に出るのは得難いチャンスだと思いましたので。誰にでもできることではないですし、これはやらなくてはと思って決断しました。

――初めての撮影現場、俳優としての表現方法で苦労したりとかはありましたか?
【ヨウニン】 野球のシーンにはプレッシャーはありませんでした。でも、そのほかの日常生活のなかでの会話シーンなど、不自然にならないようにうまく演じられるか心配でした。でも、マー監督は常に温かい目で見守ってくれていて、安心して演技をすることができたんです。マー監督に初めてお会いしたときは、テレビや映画でずっと観ていた俳優でありスターなので、とても緊張しました。

――ヨウニンさんが演じたアキラと自分の似ているところ、似ていないところは?
【ヨウニン】 アキラはチームの主将だから、リーダーシップの強いところがあります。僕は実際の野球チームではリーダーの立場ではないから、そこは違うんですね。似ているのは、チャンスをしっかりとつかんで最後までやりぬこうとするところだと思います。映画のなかでも甲子園の決勝戦のラストシーンで、「最後までやりたい」と言います。僕も実は高校最後の試合で、脚にケガをしていたけど、「最後までやらせてください」と言ったことがあるんです。映画ではそのときの気持ちを思い出しました。

――映画のなかでは、そのチームを率いる監督を永瀬正敏さんが演じていました。先ほど久々に再会したそうで、おふたりでハグされていましたが、永瀬さんとの現場はいかがでしたか?
【ヨウニン】 僕も日本語ができるわけではないのですが、それでも気持ちは十分に通い合っていると思いました。長い撮影時間、一緒に努力してきたし、こうやって宣伝活動でもご一緒させていただいて、すごく情を感じます。僕にとっては大きなお兄さんかお父さん?のような存在です。映画というご縁で出会うことができましたが、プロモーションが終わって会えなくなると思うとすごく寂しいです。でも、Facebookで永瀬さんのことはいつも見ています。それに、僕がワールドカップに出たことを永瀬さんがFacebookに書いてくれていたのを知って、関心を持ってくださっているんだって感動しました。

◆自分をしっかり認めて肯定できた

――これまで、大阪、松山、そして東京とプロモーションで来日されていましたが、日本ではどんなことが印象に残りましたか?
【ヨウニン】 大阪プロモーションで、正装してチームのみんなで正式な場所に立ったことが印象に残っています。その後は甲子園球場にも行きました。『KANO』にも出てくるから感慨深いということもありますけど、僕自身も動画で甲子園の試合をよく観ていたんです。だから、実際に甲子園で野球を見られたのはすごくうれしかったです。甲子園博物館にも行って有名選手のグローブなども見ましたし、台湾の選手の記録が博物館に殿堂として残っているのもすごいことだと思いました。

――映画に出演された後、第1回「世界盃21U棒球錦標賽(IBAF U21ワールドカップ)」の最終メンバーに選ばれたわけですが、俳優をした後に野球で再び活躍することを予想していましたか?
【ヨウニン】 撮影のために1年休学していたわけですけれども、僕の野球人生にとっては大きな影響はないだろうと思っていました。今までやってきた野球に自信を持っていましたし、最短距離でもとのレベルに戻れると信じていました。もちろん、ワールドカップ代表に選ばれたときにもプレッシャーはありました。『KANO』に出て注目されたから選手に選ばれたんじゃないかという空気も感じていたので、そんな声を跳ね返すためにもがんばらないといけないと思っていました。それでも、自信が揺らぐこともときにはありましたけど……。

――その結果、チームは優勝、ヨウニンさんも最優秀外野手を受賞されました。『KANO』の演技で台北電影節の助演男優賞をもらったときとの気持ちの違いはありますか?
【ヨウニン】 ふたつの賞の意味合いは僕にとっては違ったものでした。最優秀外野手をいただいたときは、自分のこれまでやってきた野球に関しての賞なので、自分をしっかり認めて肯定できました。逆に助演男優賞では、すごく不思議な感じがしました。でも、『KANO』という映画に参加できて、それが僕がずっとやってきた野球の映画だったからこその受賞だと思うし、すごくラッキーだったと思います。
(文:西森路代)

ツァオ・ヨウニンのインタビュー撮り下ろし写真&劇中カット

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