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従業員の知恵で効率アップ マツダの成功術とは?

 2年連続のクライマックスシリーズ進出が決定し、ここ最近エンジン全開の広島東洋カープ。同様に現在、“地域の顔”として好調な動きを見せているのが、広島に本社工場を構える自動車メーカー「マツダ」だ。同社は開発から生産、出荷、営業機能までをひとつの敷地内に集約した珍しい組織で、垣根を越えた交流などにより社内環境は良好。そんな風通しの良い職場から生まれる従業員たちの“自由な発想”が、同社にとって重要なエネルギー源になっているという。

ソケットからボルトを抜き取る作業の効率化を狙った『ボルト戦隊 取れるんじゃー』は、UFOキャッチャーのクレーンゲームから生まれた (C)oricon ME inc.

ソケットからボルトを抜き取る作業の効率化を狙った『ボルト戦隊 取れるんじゃー』は、UFOキャッチャーのクレーンゲームから生まれた (C)oricon ME inc.

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◆日本のモノ作りを支える「からくり改善」で職場を活性化

 同社は新型『アクセラ』の販売が本格寄与し、グローバル販売台数が対前年6%増の31万9000台を記録(2014年4〜6月)。今後も新型『マツダ デミオ』、『マツダ ロードスター』など、フルモデルチェンジする人気車の登場によって、ますます上り調子に拍車がかかっていきそうな状況だ。

 好調の理由は、従業員の創造力を最大限に引き出す社風にヒントが隠されている。同社では、古くから日本のモノ作り精神を支えてきた“お金をかけない、創造性に優れた、楽しい作業改善”である「からくり改善」を1995年頃より積極的に行っている。江戸時代に生まれたからくり人形のように、まったく動力を使わず単純な機構を用いながらも、独創的なアイディアで高度な技術に変換させるこの改善方法は現在、国内企業の多くの製造現場で取り組まれているが、マツダでは各々が知恵を絞り出し、日々の作業効率アップに努めるという“全員参加”の姿勢を貫く。

 「作業している本人でないと気づかない視点ってあると思います」と話すのは、本社工場主幹の池原浩三氏。現場の声を取り入れることで、見えにくい問題を可視化することはもちろんだが、その根底には職場を活性化させ、イキイキとした人材を育てるという狙いもある。一般的には、専門の部隊が行っている企業が多いようだが、同社はあくまで極力“全員参加の手作り”にこだわる。「少ない投資でスピーディーに実現できますし、壊れた時の修復やさらなる改良も簡単にできる。何より自分たちで作ることで愛着も湧くと思いますしね」(池原氏)。

◆ヒントはUFOキャッチャー!? 豊かな発想で作業効率アップ

 現在、本社工場内で導入されているからくり改善は実に1000件以上。装置には、人気キャラクターの切り抜きが貼ってあったり、「ボルト戦隊 取れるんじゃー」などのユニークな名前が付けられていたりと、楽しみながら改善に取り組んでいる様子が伺える。ソケットからボルトを抜き取る作業の効率化を狙った「〜取れるんじゃー」の開発に携わった本社組立係の俵賢一さんは、「UFOキャッチャーのクレーンゲームからヒントを得ました。アイディアが生まれてから1週間程度で形になり、改良を重ねて1ヶ月後くらいには機能しはじめた」と話す。この改善で実際に、0.6秒の作業効率アップを実現したという。

 同社では、1994年より開催されている『からくり改善くふう展』(日本プラントメンテナンス協会主催)にも積極的に参加し、2013年は『もみじまんじゅう式ピアノ』、2012年は『スマートポン!』が協会特別賞を受賞。今月末に行われる2014年度大会にも、多数の作品を出品している。「みんながそれぞれ考えてくれるとすごいエネルギーになると思うんです」と池原氏。“飽くなき挑戦”の心が同社を支える影の原動力となっている。

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マツダ 公式サイト

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  • おもりの力で歩行数を減らす改善を行った『からくり同期台車』 (C)oricon ME inc.
  • 箱に入ったガスケットを確実に2枚取り出せるよう改善した『あっかんべー太郎君』 (C)oricon ME inc.
  • マツダ本社工場 主幹の池原浩三氏 (C)oricon ME inc.
  • マツダが“全従業員”で取り組んでいる「からくり改善」 2007年に生まれた「バッタ君1号」は、台車の前後輪が折りたためることで、段差を乗り越えて直進することができる (C)oricon ME inc.
  • マツダが“全従業員”で取り組んでいる「からくり改善」 ソケットからボルトを抜き取る作業の効率化を狙った『ボルト戦隊 取れるんじゃー』は、UFOキャッチャーのクレーンゲームから生まれた (C)oricon ME inc.

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