広島東洋カープのヘルメットには、
昨年からソウルレッドをイメージした
特別色が採用されています!
マツダを代表するカラーといえば、内から輝くような鮮やかな発色が魅力的な“ソウルレッド”。実はこのカラー、昨年より野球チーム・広島東洋カープのヘルメットに、同色をイメージした特別色が採用されているんです! 野球中継などで、知らぬ間に目にしている方も多いのではないでしょうか? 工場見学の後半戦は、ソウルレッドの誕生秘話に迫るとともに、塗装現場の見学、そして塗装体験をさせていただきました!
『ファミリア』や『ロードスター』など、代々“赤色”にこだわり続けてきたマツダ。クルマ作りの世界は、比較的“分業化”されることが多いそうなのですが、デザインテーマを“魂動(こどう)”に統一してからは、関わる者同士がよりひとつになって、お客様に「すごい!」と言ってもらえるような色、クルマ作りを目指して前進。情熱をもって取り組み、完成したモノのひとつがこのソウルレッドなんだそう。
ソウルレッドを開発するにあたって目指したポイントは、(1)内から発するような力強さ(2)鋭く強い輝き(3)あらゆる角度から見た時に味わい深く見えること の大きく分けて3つ。そこで今回、厚さ0.1ミリの塗装には、今までとは異なる、高彩度顔料の採用と各層の機能の見直しを実施。高い質感と耐久性を両立することに成功したそうです。
“レッド”と言っても、
従来のものと比べるとこんなにも違いが
しかし、喜ぶのもつかの間。たとえ色が完成しても、それを量産するにはさらなる挑戦が必要でした。そして、塗装ロボットによる量産を実現するため、“光の反射特性の分析”と“匠の塗り方”を徹底研究! トライ&エラーの末に完成したソウルレッドは、日本流行色協会が主催する自動車のカラーデザイン賞『オートカラーアウォード2013』のオートカラーデザイナーズセレクション エクステリア部門を見事受賞。同業者からも高く評価されました。
過程を振り返り「みんなが驚くだろうと思って頑張りました」と語ったのは、色の開発に携わった久保田寛さん。塗装技術の篠田雅史さんは「カッコイイと思ったけど、量産は難しいと思った。1つひとつの課題をクリアにして『アテンザ』の量産開始の4ヶ月前に、何とか技術が間に合いました」。カラーデザインの細野明洋さんは、「お互いに切磋琢磨して完成したもの。苦労して良かったなと思いました」と笑顔で語ってくださいました! この味わい深い赤色は、たくさんの方々の努力の賜物なんですね。
ソウルレッドについて詳しく教えていただいたところで、次は塗装工場の見学をさせていただきました! 今回は300ボルトもの電圧で塗装をする【電着】工程(省庁の方やアナリストなどの見学者にも、あまり見せたことがないという貴重な場所です!)や、手作業とロボットとで力を合わせて行う【シーラー】工程。ソウルレッドも塗られた【ベース・クリア塗装】の工程と、貴重な内部を見せていただき大興奮してしまいました!
ドアの内側など細かい部分に対応する
中塗をした後、上塗をして仕上げます
電着工程では、300ボルト程の電圧で
塗装していきます
塗装が完了した車体
腕があっても塗装が難しいというレッド。
職人さんたちはいろんな角度から
確認しながらも、躊躇なく色を重ねていきます
そして、見学ツアーの最後は、手作業で挑む塗装体験。もちろん、挑戦する色はソウルレッドです! やり方を教えてもらったのは、世界中の若手職人が“ものづくり”を競う『技能五輪』で功績を残す山崎麗さん、坂本遥加さんのお2人(なんと2人とも女性です)。「ソウルレッドはムラができやすく、腕があっても難しい色」ということですが、お手本を見せてもらうと、さすがのすご技! なんの躊躇なく色を塗り重ね、あっという間に美しいソウルレッドが完成しました。
いよいよ私の順番になり、色のバランスに気をつけながら噴射していくも、これがとても難しい! 一部は薄くて一部は濃くと、色ムラが目立つ出来ばえになってしまいました……。高度な技術を極めるには、日々の鍛錬が必要なんですね。(お2人ともまだ20代前半。ますますのご活躍を期待しています!)
1日かけて、マツダの“技術”に迫ってきた今回の調査隊。前半戦のクレイ作業にしても、後半の塗装技術にしても、開発者・生産者たちがひとつの目標に向け議論し、全力を尽くす姿がとても印象的でした。これまでは、クルマに関してあまり興味がなかった免許未取得の私ですが、匠の技術を体感し、今後はクルマのショールームやモーターショーなどにも足を運んでみたいなと思いました! そして、いつの日かマイカーを!
塗装体験! 左から順番に、
三段階にわけてソウルレッドを塗っていきます
塗装について教えていただいた(左から)
坂本遥加さん、山崎麗さん、筏津敏雄さん