女優の波瑠と新城毅彦監督が、映画『潔く柔く きよくやわく』（10月26日公開）の撮影が行われた広島県内3箇所のロケ地を巡り、半年ぶりの訪問を懐かしみながら、撮影時のエピソードや当時との街の印象の違いなどについて語った。

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　撮影から半年が経つ9月下旬、ふたりがまず訪れたのは竹原市の礒宮八幡神社。ここでは、高校時代の主人公たち仲良しグループ4人が夏祭りを楽しむシーンが撮影された。神社のやしろまでまっすぐに伸びる参道を歩きながら波瑠は「撮影は冬だったので、季節が変わると印象が違いますね。こんな感じだったんだ」と感慨深げ。新城監督は「（瀬戸内は）日本特有の郷愁を感じさせながら、キラキラした感じもある。大人からみた懐かしさがあって、立ち止まって自分のことを振り返って考えられる」とロケ地に選んだ理由を語った。

　その後、神社の敷地内で、劇中で主人公たちが楽しむ屋台の射的ゲームに波瑠が挑戦し、新城監督が驚く腕前を披露。ゲームで盛り上がったあと、スタッフとともに神社にお参りをしてこの地を後にした。

　次に訪れたのは、呉市中通にある商店街の“れんが通り”。ここでは、高校時代のカンナ（長澤まさみ）と朝美（波瑠）が、通学中にはしゃぎながら男子の話をしたり、街を走り抜けたりする、なにげないやりとりが柔らかい光のなかで描き出される青春感あふれるシーンなどが撮影された。新城監督は「昭和っぽくて懐かしい雰囲気がありながら、若い人たちのお店もあって、新しさと古さがちょうどいい」とロケ地に選んだこの街の魅力を語る。撮影はレールを使ってカメラが移動しながら、長澤と波瑠を追いかける形で行われた。

　撮影を振り返りながら波瑠は「私は東京生まれで電車通学だったので、ああいう自転車通学をやってみたかったんです。青春っていう感じで憧れでした」と懐かしむ。その後、創業50年の歴史を持つコーヒー店で名物のコーヒーを堪能しながら、波瑠はロケ中においしいパン屋を見つけて購入していたことや、スタッフに冷麺のおいしい店を教わったことなど、撮影中も街を楽しんでいたことを明かした。

　今回のロケ地巡りの最後は、安芸郡坂町の「ベイサイドビーチ坂」。瀬戸内ならではの島が点々と浮かぶ海を目の前にしたこのビーチは、高校時代の4人の男女の青春を映し出す象徴的なシーンの撮影が行われた。この日の訪問も、劇中シーンと同じく、きれいな夕焼けを眺めながらになった。波瑠は撮影時を思い返し「（新城監督へ）青春を疑似体験させていただきありがとうございます（笑）。こういう素敵なデートができるいいところですね」としみじみと語る。一方、新城監督は「ここをロケ地に選んだ一番の理由は、この夕日です。そして、ここでしか見られないぜいたくな風景」と景色を改めて堪能した。

　さらに波瑠は、2月の撮影時に長澤とともに手作りのバレンタインデーチョコをサプライズでキャスト、スタッフにプレゼントした思い出の地であることを明かした。新城監督が「撮影中の現場の雰囲気はすごくよかったです。4人が自然に楽しんでいる様子がスクリーンにも映し出されています」と撮影時を思い起こしながら語ると、波瑠も「そのときは、高校生の仲良し4人の青春の1ページを本物の気持ちで楽しみました。自然な関係でした」と笑顔をみせた。

　そんな感傷に浸りながらのロケ地巡りを終えた波瑠は「改めてロケ地を見て回るのは今回が初めて。撮影中には気づかなかったその地のよさを改めて知るいい機会になりました」。新城監督も1日を振り返り「ロケは冬でしたが、季節が変わると景色が変わります。今回の訪問でそれぞれの場所の新しい顔がみられてよかったです」とコメントした。

　なお、この日のロケ地巡りの様子は、10月25日の広島テレビ『テレビ派』内で放送される予定（予告なく変更される場合あり）。

　長澤まさみと岡田将生が初共演で恋人役を演じる同作は、福山市・鞆の浦をはじめ、呉市・れんが通り商店街や竹原市、三原市、尾道市など、広島各所で撮影が行われた。波瑠は長澤演じる主人公の高校時代の仲間として出演。主に主人公たちの高校時代のシーンの撮影が広島で行われ、瀬戸内の景色や街並みが美しく切り取られた、情感豊かなラブストーリーに仕上がっている