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【前編】“ミタ”を生んだ脚本家・遊川和彦氏が語る「安易なアニメの実写化は作り手の“保険”」

 女優・松嶋菜々子主演、最高平均視聴率29.6%(第8話)で今年放送のドラマ最高値を記録した連続ドラマ『家政婦のミタ』(毎週水曜 後10:00〜 日本テレビ系)。そのヒットの理由を解明するべく、ORICON STYLEでは同作の生みの親である脚本家・遊川和彦氏にインタビューを敢行した。低迷をささやかれるドラマ界に風穴を開けた遊川氏が、アニメの実写化が相次ぐなかでオリジナル作品にこだわる理由を告白。「“ヒットした原作”を手掛けることは、作り手の保障や保険代わり」と安易な実写化に警鐘を鳴らし、ドラマ作りの気概を語る。

■“ヒットの保障”を求める制作側の悪循環

 遊川氏は脚本家として25年以上のキャリアを持ち、『さとうきび畑の唄』(03年/TBS系)で「文化庁芸術祭テレビ部門大賞」を受賞、また『女王の教室』(05年/日本テレビ系)では、スタート当初に視聴者からクレームが殺到するも、徐々に反響を呼び、結果「第24回向田邦子賞」を受賞するなど、数々の話題作を送り出してきたヒットメーカーだ。しかしアニメやコミックなど、いわゆる“原作モノ”を手掛けたのは反町隆史主演の『GTO』(1998年/フジテレビ系)1作のみ。昨今のドラマ、映画界ではアニメの実写化が相次ぐなか、あえてオリジナル作品にこだわる理由を尋ねてみた。

 「原作モノを経験して色々勉強にもなったし、そのジャンルを扱う事が悪いとも思いません。ただし、実写化するなら男と女のキャストを入れ替えるとか、小手先の変化球じゃだめなんです」と言い切る遊川氏。「極論でいうと、原作の“関係図”やキャラクターだけ抜き出して、後は全部変えます! 一から作ったモノを原作者に見せて、それで『面白いね、どうぞやってみて』って言わせたら勝ちですね(笑)」と、まるで一戦交えるかのような気迫でドラマ化に向けて邁進する様がうかがえる。

 「テレビでやるならこうなりますって、ちゃんと提示しなければと思います。それが“この作品をやりたい”という想いであり、それでこそモノづくりは楽しくて幸せなんです。ドラマの現場は辛いし、嫌な事なんて沢山あるけど、それでもドラマは楽しく作らないと」と、産みの苦しみやチャレンジ精神なくして、ドラマ作りは成し得ないと力説は続く。

 「プロデュサーや脚本家はその気概を失ってはいけないと思います。周囲の評価ばかりを気にして“当てなくては”と焦っても、それは悪循環がどんどん回っていくだけです」と、今のドラマ界の現状をチクリと突き、演じる側も同じだと続ける。「チャレンジだけどやってみましょう! なんて言ってくれる人は、今のドラマ界では稀です。オリジナル作品には、ヒットするという確証がない。でも“ヒットした原作”となれば、スタッフ、俳優陣にとってスタートラインに立つ時の保障となりえるんです」と解説。

 「保障が欲しい、保険を掛けたい……。それが悪い事だとは言いませんし、結果を残すという社会人としての当たり前の行為だとは思います。だからこそ、僕のやっていることは目立っているのかもしれませんが、誰かがそうしないと“ドラマ”は終わってしまいますから」と、安易な実写化に警鐘を鳴らす。


>>【後編】遊川和彦氏が語る「ドラマに不要な“倫理観”」



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