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ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督が8年ぶりの来日、監督業を勇退“最後の作品”を語る

 『倫敦(ロンドン)から来た男』などで知られるハンガリーの映画作家、タル・ベーラ監督が22日、約8年ぶりに来日し、東京・駐日ハンガリー大使館で会見を行った。今年2月の『ベルリン国際映画祭』で銀熊賞と国際批評家連盟賞をダブル受賞した最新作『ニーチェの馬』を「最後の作品」と公言しているタル・ベーラ監督は「34年間、映画を作り続けてきて、それは私にとっても長い道のりでした。人間を理解して、人生に寄り添い、自分が見ている世界を人々に伝えようとしてきました。私の映画はすべて自分の中から始まっている深淵なものです。言いたかったことは語り尽くしました」と話した。

約8年ぶりに来日し、監督業勇退について語ったタル・ベーラ監督 (C)ORICON DD inc.

約8年ぶりに来日し、監督業勇退について語ったタル・ベーラ監督 (C)ORICON DD inc.

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 全国の映画館で、映画の新たな上映方式DCP(デジタルシネマパッケージ)の導入が進み、35mmフィルムでの上映が無くなる日が近いと言われる昨今。それは、「カラーフィルムよりもモノクロのほうがカラフルに見えるから」と意図的にモノクロの35mmフィルムで撮り続けてきたタル・ベーラ監督が映画作りをやめてしまう理由と関係があるのかに、注目が集まった。

 「映画を撮るための新しいテクノロジーや機材が開発されていく中で、それを使わない理由はないでしょう。ただ個人的には、それを映画(フィルム)と呼びたくない。映画とは編集台の上で触れて、一コマ一コマを見ることができるリアルなもの。既存のフィルムによる映画作りと、デジタル技術を使った映画作りをミックスしてしまうのはいかがなものか。新しいデジタルの技術を使って作品を作るのであれば、新たな映画的言語を模索してほしい。既存のフィルムで撮った映画のふりをしてもらいたくない。同時に、新しいデジタル技術による可能性を若い方にはどんどん発見してもらいたいと思う」。

 一方で、個人的な理由として語ったのは「この作品をもってひとつの円環が閉じる、その準備が整ったような気持ちになりました。なので、次に新しい作品を作るとしたら、以前の繰り返しか、模倣になってしまうだろう。そんな醜い作品を作る理由がみつからなかった」。

 同作は、19世紀末のドイツの哲学者で、20世紀の哲学・文学に多大な影響を与えたニーチェの逸話に触発されて生まれた作品。イタリア・トリノの広場で泣きながら馬の首を抱き、そのまま発狂したとされるニーチェ。タル・ベーラ監督は「脚本家クラスナホルカイ・ラースローのレクチャーを聞いた時、『あの馬はどうなったのか』という疑問で終わっていた。その疑問に心動かされた」という。そのレクチャーを受けたのは実に33年前で、ラースロー氏とはその後、友人として、仕事のパートナーとして、映画作りをともにしてきた。

 「答えを探して試行錯誤して33年、あの馬が実際にどうなったのか知る由もないが、この映画が私たちの答えです。聖書で神は世界を6日で創造し、満足して、7日目は休息した。『ニーチェの馬』ではアンチクリエーション、逆行、退化していく6日間を描いています。そして、映画監督は6日目まで作ったら、7日目以降は永劫と休息なんです」。

 映画作りを始めた頃に抱いた疑問の答えを、映画で表現できた達成感があるのだろう。迷いも未練のかけらもない引き際の良さ。今後については、「一つはっきりしているのは、今でも映画作家であるということ。カメラに触れずにできることは2つあります。1つはプロデューサーとして、映画業界人がもっていないイマジネーションを持った映画作家たち手助けしていくこと。2つ目は、教えること。映画は教えて作れるものではないが、若い人たちに映画という言語がいかに豊かで色彩に富んだものであるか、勇気を持って、妥協せずに自分を表現していってほしいと伝えていきたい」と語っていた。

 映画『ニーチェの馬』は2012年2月、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。もちろん、モノクロ、35mmフィルムでの上映だ。

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  • 映画『ニーチェの馬』は2012年2月、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開
  • 映画『ニーチェの馬』は2012年2月、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開

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