今週は、3度目の監督作品『さや侍』が公開直前の松本人志監督が登場! 初の時代劇への挑戦。“笑い”と共に“泣き”の要素を盛り込んだ同作への想い、さらに50歳を目前にしての自身の変化などを独占インタビュー。さらに主演に抜擢された“究極の素人”野見隆明インタビューも!!

僕なりの“子連れ狼”を見せたかったのかも…

松本人志
松本人志

──『さや侍』拝見しましたが、正直ラストにはウルっときました。まさか松本さんの映画で泣かされるとは(笑)。
【松本人志】  あぁ、そういう風に言ってもらえると一番嬉しいですね。元々、主演の野見(隆明)さんとは過去に『働くおっさん劇場』という番組でご一緒させてもらって、非常に面白いおじさんだったんですよ。で、この人で映画を撮ったらどうなるんだろう? という所から今回の『さや侍』は始まったんです。 ──野見さんありきの作品だったんですね。
【松本】  そうです。こんな役者さんを主役にしたら、多分こんな映画になるんだろうというのを裏切りたいと思ったんですね。「え!? この素材でこんな味付けになるんや」っていうのが今回の挑戦だったんだと思います。 ──“裏切り”という意味では、これ以上の裏切りは無いですよね。私も『働くおっさん』は観ていましたが、野見さんはテレビに映っていいのか? という程の危うさがある(笑)。
【松本】  もうね、完全にアウトですよ(笑)。今だとあんな番組出来ないですからねぇ。確実に放送コードに引っかかる。 ──でも、そんな野見さんを武士、浪人というフィルターを通してみたら、見事にハマった。多分、当時の浪人はこんな感じだったんだろうと思わせる。
【松本】  うん。それはね、冒頭で野見さんが走るシーンがあるんですけど、僕自身もシビれたんですよ。浪人としての野良犬のような感じに魅了されたというか。野見さんも『働くおっさん』以降、プライベートでも色々なことがあって、それこそ野良犬みたいになってたんですね(笑)。だからこそ、その生き様が画面にも出たんでしょう。 ──撮影が進むにつれ、野見さんを撮っていくことで、どんどん監督としての快楽を得られたであろうことが画面からも伝わってきます。
【松本】  そうですね。確かに今回は、映画を“撮った感”はありましたね。結構大変だったんですよ、スケジュール的にもね。本音を言えば、撮影中は映画だけに集中したいけど、バラエティの仕事も休むわけにはいかない。正直切り替えが出来ないときもあった。でも、その日の撮影が終わって車で帰るときに、「あぁ、今日はええの撮れたなぁ。充実してるなぁ」って思ったり。 ──周りに言えずグッと1人で噛み締めていたと(笑)。
【松本】  そうなんですよ。テレビの仕事をしながらだと、「今、良い絵撮れてんねん」って周りに言えないじゃないですか? 人に言えないツラさはねぇ、ストレスが溜まりますよ(笑)。 ──今作の設定が時代劇というのは、松本さん自身が“切腹”という行為に興味を持ったというのがきっかけだったとか。死を選ばず生きようとする主人公の様に、ある種の滑稽さを見出したのですか?
【松本】  切腹の美徳って、結局死んでも終わりじゃないという考え方ですよね。死んだ後、死後のことを考えての行為。この世からいなくなってからの物語を想定しての行為って独特だなって思ったんです。でも、死を選ばずジタバタしながら生きたいと思った武士もいたと思う。野見さんに関しては、撮影中とことん追い込んだんです。追い込めば追い込むほどジタバタする。それが野見さんの面白さだし、それを映画の前半に見せたかったんです。 ──『さや侍』は、松本さんなりの解釈での『子連れ狼』を見せたかったのではないかと思いました。『子連れ』の主人公・拝一刀は剣の達人、対する野見は剣を捨て鞘のみを持つ身。拝は“人を殺す”ことで生きようとする、対する野見は、“人を笑わす”ことで生きようとする。アプローチは真逆ですが。
【松本】  そうですね。無意識に僕なりの『子連れ狼』を作りたかったのかも知れない。僕ね、拝役の萬屋(錦之介)さんが大好きなんですよね。 ──ラストシーンなどは、『子連れ狼』の萬屋さんの長ゼリフで感動した“泣きの演出”に重なるものがあります。
【松本】  あぁ、嬉しいですね(笑)。そもそも、『さや侍』を作るにあたって、野見さんの“素人のダイナミック”さというものが欲しかった。でも、野見さんに演技は求められない。野見さんを引っ張る、野見さんをカバーしてもらう役者さんが必要だったんです。それで“子連れ”という設定にしたということはありましたね。最初は男の子を想定していたんですけど、あの年代の子だと、女の子の方が実はしっかりしていて。野見さんも絵ヅラ的にはシンドイので可愛い女の子の方がいいかなと。 ──対比としてもいいですよね(笑)。
【松本】  そうです(笑)。娘にケツを叩かれていきながら、勘十郎が追い込まれていけばいいかなと。それは、どんどん後から付いていったものなんですけどね。でも、無意識に自分が観てきたモノ、自分が好きなモノに流れていくんでしょうね。

次のページへ【ハードな“笑い”は正直シンドイ】

©2011「さや侍」製作委員会

“さや”しか持たない侍とその娘、30日間の戦い!

とある事情で自ら刀を捨て、さやのみを持つ浪人となった勘十郎(野見隆明)。そんな父を軽蔑し反発する娘・たえ(熊田聖亞)と共に流浪の旅を続けて行くも、捕らわれの身となる。殿様の眼前に連行された勘十郎は“30日の業”に処されるが、それに成功すれば無罪放免になると知り…。

『さや侍』

監督・脚本:松本人志

出演:野見隆明、熊田聖亞、板尾創路、りょう、伊武雅刀、國村隼 ほか

2011年6月11日公開

BACK NUMBER

Vol.50 プリンセス天功
  『神秘のベールに包まれた“素顔”に迫る!!』(2014年07月18日)

Vol.49 田中美絵子
  『政治家の資質って何!?』(2014年07月11日)

Vol.48 桂三度
  『落語家転身の“真相”を激白!!』(2014年06月05日)

Vol.47 小籔千豊
  『新喜劇も進化せなアカン!!』(2014年05月16日)

Vol.46 高須光聖
  『高須光聖が語る“バラエティの意義”「“ゲスさ”もテレビなんだよ」』(2014年05月02日)

Vol.45 R-1ぐらんぷり2014
  『決戦直前!! 『R-1』決勝進出者インタビュー』(2014年03月03日)

Vol.44 HIDEBOH×レイザーラモン
  『タップとお笑いの過激な融合!??』(2014年01月29日)

特別編 藤原寛
  『「松本アウト〜」でお馴染み!!水先案内人が明かす『笑ってはいけない』の裏側 』(2013年12月27日)

特別編 月亭方正
  『今年もまたあの恐怖がやってくる!!“蝶野のビンタ”は忘れたころにまた痛む』(2013年12月20日)

Vol.43 板尾創路
  『役者としても“ネクストステージ”に到達』(2013年12月06日)

Vol.42 倉本美津留
  『盟友・倉本美津留が語る“監督”松本人志「彼は新たな“文化を生む”キーパーソン」』(2013年10月31日)

Vol.41 松本人志
  『僕の映画はコメディや喜劇ではない』(2013年09月20日)

Vol.40 小籔千豊
  『自身のフェスにも遅刻宣言!?』(2013年09月13日)

Vol.39 渡辺直美
  『ポチャかわブームに異議あり「私、全くモテません!!」』(2013年09月04日)

Vol.38 ジャングルポケット
  『“笑い”に憑りつかれた哀しきトリオ』(2013年07月11日)

特別編 IPPONグランプリ
  “大喜利”に命を懸ける者たち『IPPONグランプリ』直前特集!!(2013年05月23日)

Vol.37 東野幸治
  『元祖“最強ひな壇芸人”が明かす自身の変化とは!?』(2013年05月15日)

Vol.36 ピース・綾部祐二
  『僕が“熟女好き”になったワケ』(2013年05月02日)

Vol.35 河本準一
  『哀愁漂う身内ネタの真意』(2013年02月22日)

Vol.34 宮川大輔
  『松本人志が惚れ込んだ“オチのない話芸”』(2013年02月08日)

Vol.33 千原ジュニア
  『ジュニアが松本人志との“出会い”を明かす!!』(2013年01月25日)

Vol.32 鉄拳
  『衝撃告白!! 鉄拳、芸人辞めようと思っていた』(2012年12月05日)

Vol.31 綾部祐二×YU-A
  『意気投合!?「お友達から始めましょう」』(2012年11月29日)

Vol.30 ウーマンラッシュアワー
  『ブレイク前夜!! 進化する“高速漫才”で頂きに立つ!!』(2012年11月21日)

特別編 SKE48
  『ノブコブのセクハラにSKE48危うし!?』』(2012年09月27日)

Vol.29 徳井義実
  『自分に“ヤンキー要素”はゼロだけど…プライベートの顔に近い元ヤン父親役』(2012年09月07日)

特別編 吉本芸人軍団
  『吉本芸人軍団が『絶望要塞』に白旗!?』(2012年08月03日)

Vol.28 フット後藤
  『キャラチェンジでCDデビュー! 』(2012年07月04日)

Vol.27 山ちゃん
  『“ご意見番”がAKB総選挙を大胆予想!!』(2012年06月01日)

Vol.26 村上健志
 『フルポン村上『アメトーーク!』最新DVD発売記念インタビュー』(2012年03月28日)

Vol.25 R-1決勝進出者
 『今年のR-1決勝進出者決定!ファイナリストインタビュー』(2012年03月16日)

Vol.24 石原さとみ
 『石原さとみ&板尾創路『月光ノ仮面』リレーインタビュー』(2011年12月28日)

Vol.23 ジャルジャル
 『ジャルジャル 結成10年目も特別なことはない!?』(2011年12月28日)

Vol.22 THE MANZAI
 『日本一の漫才師が決定! 進出者“最速”インタビュー!』(2011年12月17日)

Vol.21 田村淳
 『ロンブー淳、テレビ業界に喝!』(2011年12月07日)

Vol.20 2700
 『2700、音楽と笑いの融合がここに極まる!』(2011年11月25日)

Vol.19 雨上がり決死隊×サバンナ高橋
 『雨上がり決死隊の裏側をサバンナ高橋が暴露』(2011年10月24日)

Vol.18 野性爆弾
 『野性爆弾の生態系とは?』(2011年10月14日)

Vol.17 後藤輝基
 『フット後藤の“ツッコミ論”』(2011年08月10日)

Vol.16 藤森慎吾
 『次の“標的”は少女時代で決まり!!』(2011年08月03日)

Vol.15 松本人志
 『笑い道とは“裏切り”と見つけたり』(2011年06月09日)

Vol.14 板尾創路
 『“鬼才”板尾創路の願い』(2011年05月25日)

Vol.13 間寛平
 『間寛平が被災者に笑いのエール!』(2011年05月12日)

Vol.12 椿鬼奴
 『大ブレイクに困惑!?“素顔”の椿鬼奴』(2011年04月27日)

Vol.11 アジアン
 『よしもとべっぴん&ぶちゃいく 揃って1位のアジアン登場!!』(2011年03月24日)

Vol.10 藤原一裕×家城啓之
 『よしもと男前No.1とブサイクNo.1の“明と暗”』(2011年03月03日)

Vol.9 佐久間一行
 『R-1王者・佐久間一行、優勝後最速インタビュー』(2011年02月16日)

Vol.8 R-1ぐらんぷり
 『今年のR-1決勝進出者決定!“ファイナリスト”インタビュー』(2011年02月10日)

Vol.7 ブラックマヨネーズ
 『ブラマヨ、今後の野望語る!』(2011年02月02日)

Vol.6 今田耕司×鈴木おさむ
 『今ちゃんの“変態願望”が明らかに!?』(2011年01月26日)

Vol.5 楽しんご
 『現在、大ブレイク中の楽しんごが登場!』(2011年01月19日)

Vol.4 スリムクラブ
 『M-1で人気爆発! スリムクラブとは何者か!?』(2011年01月12日)

Vol.3 笑い飯
 『M-1覇者・笑い飯に“最速”インタビュー!!』(2010年12月28日)

Vol.2 宮川大輔
 『すべらない話の“作り方”』(2010年12月22日)

Vol.1 M-1グランプリ
 『今年のM-1決勝進出者決定!どこよりも早い進出者“最速”インタビュー』(2010年12月15日)

▲このページの最初に戻る