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ライブの魅力はMC、星野源、コブクロのトーク力を紐解く

 ライブを構成する2大要素と言えば「歌」と「MC」だ。先日引退した安室奈美恵さんはライブ中にまったくMCをしないことで有名だった。この逸話が広がるほどに、かえって際立ってきたのが“ライブでのMC”であったりもする。実際、ライブの醍醐味のひとつは、アーティストが日常で感じる喜怒哀楽をファンに語り掛けてくれるMC(=トーク)にある。ステージがシンプルになればなるほど、歌唱力・表現力が作品の世界観を描き出すうえで欠かせないものであるように、MCはアーティストの個性をダイレクトに伝える極めて重要なポイントとなる。

ベテラン勢に混じり、星野源、コブクロが上位に

 歌にもトークにも秀でたアーティストは数多い。とくに、自ら作品を手がけて歌うシンガー・ソングライターには必要なスキルと言えるかもしれない。ユーモアにあふれたトークで楽曲に込めた想いを伝え、豊かな歌の表現力で感動を増幅させる。この相乗効果で、観客に「また観たい」「聴きに来たい」と思わせることのできるアーティストとは誰なのか。オリコン・リサーチでは、「歌もトークもうまいシンガー・ソングライター」についてアンケート調査を行った。

コンサート中のMCだけでのCDもリリースするさだまさしが堂々の1位

コンサート中のMCだけでのCDもリリースするさだまさしが堂々の1位

  • さだまさし

    さだまさし

 いずれ劣らぬトップ・アーティストの名前が並んだ。さだまさし、桑田佳祐(サザンオールスターズ)、松山千春、中島みゆき、THE ALFEEは、みなキャリア40年オーバーのベテランだ。それは裏を返せば、傑出した作品力と人を引きつけてやまない人間的魅力にあふれていたからこその“長寿”と言えるだろう。

 そんな熟練したメンバーが集うなかで、本稿ではTOP5に入った2組、星野源とコブクロに注目してみたい。

トーク技術以上に、星野源の人柄や価値観に対して好意

 4位の星野源は、公式サイトのプロフィールに「音楽家・俳優・文筆家」とあるように、多彩な才能で知られている。宮藤官九郎らが在籍する劇団・大人計画の一員としての俳優業ではドラマや映画のみならず、NHKのバラエティ番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』でコントにも挑戦するなど軽快なフットワークを誇り、さまざまなカテゴリーで得た表現力を作品構成やトークに落とし込むことで、リアリティと人のぬくもりに満ちた言葉を紡ぎ出している。『おげんさんといっしょ』(NHK)、『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)といったトークがキーポイントとなる番組で見せる、真面目な話からお笑い、下ネタまでをバランスよく網羅できる会話術は、星野の多彩さが成せる業であるし、彼から感じ取ることのできる温かみとやさしさの礎ともなっている。

 実際、うわべのトーク技術というよりは星野源の人柄、価値観などに対して好意を持つリスナーは多く、今回の調査でも、「話し方や歌う前のコメントに親近感がわく」(30代女性・兵庫)、「爽やかでかっこつけない感じに親しみがある」(30代女性・東京)、「自然体で話すので、聴いていても違和感を覚えない」(20代女性・大阪)、「物腰の柔らかい雰囲気から繰り出す軽妙なトーク。頭の回転の良さ」(40代男性・神奈川)などのコメントも目立つ。ここから得られるキーワードは「親しみやすさ」「センスの良さ」「幅の広さ」「自然体」「人間性」といったもの。肩ひじを張らずに楽しめる、という点は星野の生み出す楽曲とも共通点は多い。

感動を呼ぶ曲やルックスと、トークの「ギャップ」もポイント

  • コブクロ

    コブクロ

 また、5位のコブクロは、既知の通り、大阪の路上ライブで産声をあげたデュオである。人が行き交う路上は足を止められなければチャンスは生まれない。ゆえに、人を引きつけるだけの作品力とそのくすぐりとなるトークは必須の武器となる。加えて、ユーモアに厳しい大阪の人たちを相手にするには、受け手の懐に絶妙に滑り込む親しみやすさと「わかる」と思わせる共感力も試される。

 そんな現場で、小渕健太郎の描き出す作品の奥深さと、黒田俊介が繰り出すパワフルで繊細な歌唱力は、お互いを補い合う形で類を見ないデュオとして、力をつけていった。そしてそこにプラスされたのが、今もなお彼らのライブの大きな魅力となっているMCだ。予定調和を嫌い、生の魅力にこだわる彼らだからこそ醸し出せる言葉のやり取りは、路上時代から積み上げてきたあうんの呼吸の上に成り立っている。

 「長年パートナーとして活動してきた2人ならではの息の合った掛け合いが素晴らしい」(50代男性・兵庫)、「ひょうひょうとした雰囲気や関西弁に親しみがわく」(30代男性・奈良)、「一見強面でとっつきにくそうだが、力のある優しい歌声と話し方でギャップがあって良い」(20代女性・埼玉)といった、彼らのMCについてのコメントからは、常に客席を和ませられる「卓越したトークスキル」と、感動を呼ぶ曲やルックスとの「ギャップ」、歌詞の解説をも自然に伝えられる「話題の豊富さ」などを感じ取ることができる。

星野源の楽曲にある「癒やし」「元気が出る」「気づき」に評価

 トークの流れが自然と作品にも溶け込んでいる星野源に対して、笑わせるところは笑わせ、聴かせるところではじっくりと聴かせるコブクロ。それぞれのスタイルは異なるものの、両者ともに言葉遣いに関しては達人級のレベルにあると言っていいだろう。だからこそ、彼らが歌う歌詞の世界に対しても高い評価が集まっている。人々はどの曲にどんな思いを募らせているのだろうか。

 星野源の作品に対しては、「落ち込んでいる時、これも次への経験になると勇気づけられる」(50代男性・千葉/Family Song)、「星野さんの温かみのある声も相まってとても癒やされる」(40代女性・宮城/くだらないの中に)、「一番気持ちが落ちているときに聴くと明日からまた生きていける気がする」(10代女性・福岡/化物)といったコメントが。そこから浮かび上がってくるキーワードは「癒やし」「元気が出る」「気づき」といったものだ。

 相対的に聴き手の“身近”なところで寄り添うようなイメージが強い。星野の人柄にある「親しみやすさ」がそうした歌詞のスタンスをより強めているようにも感じられる。 “人とともにある”、そんな日常性が星野源の持つ魅力に他ならない。

コブクロの楽曲では、「情景」「励まし」「共感」がポイントに

 一方、コブクロの作品には、「ほほえましい情景が思い浮かぶ歌詞が好き」(50代女性・千葉/Million Films)、「行き詰まった時、この曲を聴くと頑張ろうと思える」(20代女性・山形/蒼く優しく)、「歌詞が、いつも背中を押してくれる」(30代女性・大阪/YELL〜エール〜)、「もうひとふんばり頑張らなかきゃいけないなと思うときに心に響く」(40代女性・埼玉/蕾)というコメントが返ってきた。

「情景」「励まし」「共感」といったところが共通するポイントだろうか。彼らの言葉によって今自分がいる場所を再確認し、指針を示してもらう人が少なくないのかもしれない。漫才のようなトークで和ませ、その後にぐっと背中を押す。コブクロの曲に勇気をもらう人が続出するのも頷ける。

 もちろん、それらが伝わるのも彼らの作品が持つ表現力の豊かさがあればこそ、だ。コブクロは、11月に30枚目のシングル「風をみつめて」、12月に初のコンプリートベストアルバム『ALL TIME BEST 1998-2018』を相次いでリリースする。星野源は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌「アイデア」を8月に配信限定でリリースしたが、アルバムは前作『YELLOW DANCER』(15年12月)以来リリースがなく、新作発売が待ち望まれている。ライブをはじめ充実した活動を受けての新作が楽しみだ。

<調査概要>
調査対象:全国男女/サンプル数:2959
調査期間(1):2018.9.18(火)〜9.20(木)
調査期間(2):2018.9.26(水)〜10.1(月)
調査手法:インターネット調査/調査機関:オリコン・モニターリサーチ

提供元: コンフィデンス

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