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堺雅人を魅了した時代性を内包するディズニーファンタジーの奥行き

『プーと大人になった僕』で実写声優に初挑戦した堺雅人

『プーと大人になった僕』で実写声優に初挑戦した堺雅人

 ディズニーが世界的人気キャラクター『くまのプーさん』の世界観をもとに実写映画化した『プーと大人になった僕』。その日本語吹替版で大人になったプーの親友クリストファー・ロビンの声を演じ、声優に初挑戦した堺雅人に、世界中の老若男女を虜にするディズニー映画の魅力について聞いた。

興味深かった、大人になったロビンの内面や悩み

『プーと大人になった僕』は、少年時代に親友のプーと「100歳になっても、きみのことは絶対に忘れない」と約束を交わしたクリストファー・ロビンが大人になって結婚し、多忙な日々を送るなか、プーと再会して新たな冒険に出かける姿を描いている。クリストファー・ロビンを演じるのは、ハリウッドスターのユアン・マクレガー。その日本語吹替の声を堺雅人が担当。今作のオファーを受けた当初は、プーが主役じゃないことに驚いたという。

「プーさんの実写化だから、当然プーさんが主役だと思いますよね。クリストファー・ロビンが主役で驚きました(笑)。物語は、大人になったロビンの内面や悩みを描いていて興味深かったです。今回のお話をいただくまでは、プーさんは知っていても原作を読んだことはなかったんです。読んでみたら、お寺の和尚さんや茶道の先生が言いそうな深い名言をプーさんが語るので、これはおもしろいぞと。原作者のA.A.ミルンや挿絵を描いたE.H.シェパードはどんな人なんだろうと非常に興味が沸きました」

 大人になったロビンが暮らすのは、ミッドセンチュリー(20世紀中期)のロンドンであることから、プーと再会するまでの間にどんな出来事が起こったのかが想像できる。堺は物語の時代設定について語る。

「物語の舞台を第二次世界大戦直後のイギリスにしたことで、クリスファー・ロビンに苦さや暗さ、重さが加わっているんです。子どもの頃にプーが教えてくれた“いまが大事なんだ”ということも理解できる反面、いまのことしか考えなかったから戦争を防げなかったんじゃないかという思いもあるような気がする。戦争を経験した後に“やっぱり今日は今日だよ”と言ってしまうのは、ちょっと無責任というか現実逃避だと思っているんじゃないかなと感じました。もちろん、でもそれを政治的なメッセージとして押し付けがましく描くのではなく、『森の仲間を一緒に探して欲しい』と頼むプーさんに対してクリストファー・ロビンは『気持ちはわかるけど僕にもいろいろあったんだよ』と(笑)、ファンタジーの世界を織り交ぜながら描いているのがこの作品のすごいところだと思います」

初の実写吹替挑戦で実写の芝居との違いを実感

『プーと大人になった僕』(C)2018 Disney Enterprises,Inc.

『プーと大人になった僕』(C)2018 Disney Enterprises,Inc.

 俳優として長いキャリアを持ちながら、実写映画の吹替は意外にも今回が初となった堺は、以前から「吹替とはどういうものなのか経験してみたかった」と言うが、今作で実写とアニメーションの声の芝居の違いを実感したようだ。

「人のお芝居を自分なりに変換して声を出すというのは、想像していたより大変な作業でした。英語と日本語だから当たり前ですけど、そのまましゃべってもダメなんですね。自分のお芝居とは違って、感情うんぬんよりもユアンさんのお芝居に合わせて演じることを第一に考えました。それも技術のいることなんだなととても勉強になりました。ただ、クリストファー・ロビンが娘と会話するシーンに関しては、ユアンさんが落ちついた話し方をされていたのと、僕にも子どもがいるので、自分のことも思い返して感情を入れながら演じることができたように思います」

 ディズニーアニメーションのなかでは、これまでに『ピーターパン』や『ダンボ』などさまざまな優れた作品が、その後、絵本として発表されてきたが、これらを子どもの頃に読み聞かせてもらっていた人も多いだろう。自分の子どもには絵本を読み聞かせているという堺だが、「僕は絵本が嫌いな子だった」と幼少期を振り返る。

「僕は図鑑を見るのが好きで、絵本の話は全部作り物だと思っているような嫌な子どもでした(笑)。ですが、大人になって僕の3歳になる息子に『くまのプーさん』をはじめ児童文学を読み聞かせる機会が増えて、ようやく絵本というフィクションの世界のすばらしさがわかるようになりました。子どもと一緒に読んでいるのに『100エーカーの森か……ところで、1エーカーは何キロ四方だっけ?』なんて理屈を考えているようではおもしろく読めないですよね(笑)。それに、絵本のなかで車がしゃべったとしても、そのまま言葉をパクっと飲み込むことがフィクションの楽しみ方だと思うんです。読み聞かせの最中になんでもかんでも分析してしまったら、子どもの左脳ばかり発達してしまいそうですし(笑)。だから、『プーと大人になった僕』を観る方にも、堺の吹替の芝居がどうのなどはあまり考えずに流してもらって(笑)、子どもになって物語を素直にパクっと食べていただくのが正しいフィクションの観方のような気がします」

ディズニー大作も邦画実写も共通する観客への思い

 全米では今年の8月に公開され、週末の興行収入は約27億8004万円と好スタートをきった今作。日本でも実写映画『美女と野獣』同様のヒットが期待されている。いまディズニー映画と言えば、ディズニーアニメーションをはじめ、ピクサーや『スター・ウォーズ』シリーズ、マーベルヒーローシリーズなど、大ヒット作が年に何本も公開されているが、それに対して邦画実写は近年ヒットスケールが小さくなってきている。今回、ディズニー作品の世界に触れた堺は、この現状について役者として考えることはあったのだろうか。

「ディズニーも邦画のアニメーションも実写も、すべて人が作っているという点では同じですよね。人が心を動かしながら一生懸命作っていることに変わりはない。自分たちが作った映画をお客様に楽しんでいただきたいという思いは一緒なはず。僕自身もそれがおもしろくてこの仕事を続けていますし、演者としては現場に行ってしまえばどこの会社が作っているかはあまり関係ないんです。僕にとっては、興行収入よりも、息子と一緒に映画を観て、どんな反応をしてくれるかということのほうが重要なこと。会社から託された難題に挑むクリストファー・ロビンの姿に僕を重ねて『お父さんも大変なんだね』と言われてしまうかもしれませんが(笑)」
(文:奥村百恵)

プーと大人になった僕

 少年クリストファー・ロビンが、“100エーカーの森”に住む親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経った──。
 大人になったクリストファー・ロビンは、妻のイヴリンと娘のマデリンとともにロンドンで暮らし、仕事中心の忙しい毎日を送っていた。ある日クリスファー・ロビンは、家族と実家で過ごす予定にしていた週末に、仕事を任されてしまう。会社から託された難題と家族の問題に悩むクリストファー・ロビン。そんな折、彼の前にかつての親友プーが現れる。

監督:マーク・フォスター
出演:ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェルほか
9月14日全国公開
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html(外部サイト)
(C)2018 Disney Enterprises,Inc.

提供元: コンフィデンス

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