藤沢朗読劇とSMEがタッグ 新感覚の音楽朗読劇シリーズが誕生
異才とSMEがコラボした新感覚の朗読劇ブランド
会場は10月にオープンする川崎市スポーツ・文化総合センター。朗読劇としては異例の2000人収容キャパだが、藤沢氏の新たな挑戦への期待とキャストの豪華さからほぼ完売状態だ。生演奏に加えて、香りや炎といった特殊効果で五感を刺激する藤沢氏のスタイルは「手に汗握る音楽朗読劇」として多くのファンをつかんでいる。「READING HIGH」プロデューサーを務めるSMEの千葉悦子氏もプライベートでその世界に触れ、魅了された1人だという。「私のセクションは新規事業の開発がミッションなのですが、弊社は総合エンタテインメント会社としてアニメや映像、ライブ制作など幅広いビジネスを展開しており、会社全体のミッションが良質なコンテンツを世に送り届けることです。もともと音楽ビジネスを中心とした会社でしたが、今は音楽単体で世に送り届けるのが非常に難しい時代で、音楽プラスαの要素を持った新たなコンテンツの開発を構想していたところ、音楽にも非常にこだわられた朗読劇という藤沢さんの世界に出会ったんです」(千葉氏)
一方の藤沢氏は、東宝とコラボした「クリエ プレミア音楽朗読劇VOICARION」、Production I.Gや東映アニメーションなどとコラボした「Theatrical Live」という2つの音楽朗読劇プロジェクトで活動中だが、さらなる新たな表現を模索していたタイミングだったという。「これまでも“音楽朗読劇”と謳っているだけに音楽は大切にしてきましたが、音楽を専門とするSMEのサポートでさらに進化した音楽表現に挑戦できそうです。また第1弾公演の『ホムンクルス』は派手なストーリーと演出を想定しているので、これまで以上に特殊効果にもこだわりたい。その点についても常にエンタテインメントを発信してきたSMEのお力添えで、最先端のテクノロジーを駆使できるのが今から楽しみですね」(藤沢氏)
ナレーション等を排除したセリフのみで展開 臨場感に拘った音楽朗読劇
これだけの人気声優が揃うだけにチケットの争奪戦は容易に想定できたため、席種など券売も一工夫をした。プレミア席は1万8000円と高額だが、ステージからの近さはもちろん、特殊効果もビビッドに体感できるというバリューがある。「僕自身、学生時代はよくロンドンのロイヤルオペラハウスの一番安い席で観劇していましたが、どの席でも存分に楽しんでいただけるようにするのが演出家としてのスキル。その上で席種ごとの価値を提供するのも、演出家としての面白い挑戦だと思っています」(藤沢氏)
惜しむらくは2日間という短い公演日程だが、これもトップクラスの人気声優を取り揃えるとなると致し方ない部分もあるのだろう。今後はライブビューイングや、映像の二次展開も想定に入れているという。「加えて、藤沢さんの作品にはオリジナル原作という強みがあります。またアニメやゲームとの相性がいい題材が多い。そうした原作の二次利用も含めて、藤沢さんが生み出した種を、SMEが耕して大きく育てるという良好なパートナーシップを築いていきたいですね」(千葉氏)
なお、2018年度にはREADING HIGH」の第2弾公演も予定。こちらも豪華キャストが登場する予定で、今後の動向が期待される。
[コンフィデンス 17年10月9日号より]