超野心的コンパクトカー
“小さなクルマ”の既成概念を超えるべく、プラットフォームからパワートレイン、足まわりに至るまで刷新された新型「トヨタ・ヤリス」。発売前のプロトタイプ試乗会でわかった、その出来栄えは?
ねらいは寸法に表れる
トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」がフルモデルチェンジを果たし、従来のグローバル名たるヤリスとなって登場した。新世代ヤリスは「コンパクトカーの域を超える」とうたわれるが、むしろコンパクトモデル本来のキャラクターに回帰したと言っていい。実用的でありながら、軽快で、走って楽しいクルマという特徴を明快に押し出している。
ニューヤリスのプラットフォームは、トヨタ自慢のTNGA(Toyota New Global Architecture)第4弾となる、コンパクトカー用のGA-B。ホイールベースを先代より40mm延ばして2550mmにする一方、全長は5mm短く、またルーフ高も30mm低くなった。重量増につながるボディー拡大を嫌って、これまでの大きさを堅持したうえでの、グッと低く構えたディメンションである。ちょっと説明を先走ると、クルマ全体のフォルムのみならず、サスペンションのストローク量を増やしながらも車体を10mm下げ、さらに乗員のヒップポイントを20〜30mmほど低い位置に設定して、走行時の低重心化を図っている。
興味深いのは、ホイールベースの延長分がほぼそのままリアオーバーハングの短縮に反映され、居住面では「後席スペースの拡大」ではなく、前席の余裕に振り分けられたこと。つまり新しいヤリスは、運転者(と助手席の同乗者)が、のびのびとドライブを楽しめるコンパクトハッチを目指しているわけだ。
念のため確認しておくと、後席乗員と前席乗員との距離が先代モデルより37mm近くなったとはいえ、リアシートの座面高は適正で、頭まわりの空間も順当なもの。フロントシートの後部底面を削って、後席の人が無理なく足先を入れられる工夫が施されたこともあり、大人用として全く実用的な後席である。
トランクルームの奥行きも数値上は減っているが、ボディーの骨格が新しくなったため荷室内部への出っ張りが抑えられ、容量自体は「旧型と同等」とのこと。日々のショッピングには十分だし、大きな荷物を積む必要が生じたなら、分割可倒式になった後席の背もたれを倒して対応すればいいだけだ。ラゲッジスペースの床面は、使い方に合わせて、位置を上下2段から選択できる。...