いうなれば肥後守
オフロード競技をはじめとしたさまざまなモータースポーツに参戦し、ロードモデルもトガったキャラクターが目を引くKTM。しかしニューモデルの「790デューク」は、“KTMらしさ”を感じさせながらも、バイクの基本を学べる懐の深い一台に仕上がっていた。
扱いやすいが、油断は禁物
KTMのブランニューモデル「790デューク」には、“THE SCALPEL”というキャッチコピーがつけられている。“メス”を意味するその言葉によって、切れ味鋭いシャープなハンドリングが表現されているわけだが、どちらかといえば“肥後守(ひごのかみ)”だと思う。使用用途が広く、ガシガシと使えるという意味で。
と言われても世代によってはピンとこないかもしれない。この原稿を書いているまさに今、となりに座っている30代女子に「肥後守って知ってる?」と聞いてみたところ、「なにかの神様ですか?」という逆質問を受けたので、少なくとも40代以上じゃないとこの例えは通じないらしい。鉛筆を削ったり、バルサ板を切ったり、竹とんぼを作ったりと、なんにでも使えた小学生必携の小刀が肥後守だ。
刃を収納できる折り畳み式のため、軽量コンパクトでなにかと使い勝手がいいというところも790デュークに通じるが、だからといって雑に扱っていると痛い目にあう可能性があるところも似ている。その一例が台湾のマキシスと共同開発された専用タイヤだ。「スーパーマックスST」と名づけられたそのスポーツラジアルは、十分なグリップ力を発揮する一方、グリップ“感”や接地“感”といった感覚性能と旋回力はもうひと踏ん張りといったところ。車体の軽さゆえ、ついイケる気になってしまうのだが、肥後守を調子に乗って振り回しているとパチンと刃が閉じて指を切ってしまうのと同じ。タイヤの限界が不意に訪れる可能性があるため、油断は禁物だ。...