安くてうまいオートバイ
ビジネス用途の「スーパーカブ」をベースに開発された、ホンダの小型バイク「クロスカブ」。その最新型は、「単なるバリエーションモデル」と割り切れない、独自の魅力を持っていた。
見ると乗るでは大違い
最初に個人的なことを書かせていただくが、実は「ハンターカブ」が大好きである。今回紹介するクロスカブのルーツとなった、80年代のホンダのバイクのことだ。40代、50代のライダーには、ハンターカブのファンが少なくない。実際、友人たちの中にもハンターカブが欲しいと言っているのが何人かいるくらいだ。
そんなハンターカブ好きからすると、2017年の東京モーターショーで発表された最新のクロスカブは“微妙なバイク”だった。「新型クロスカブは、よりハンターカブに近くなりました」なんて言っているけれど「マフラーだってダウンタイプのままプロテクター付けただけだし、デザインもオモチャっぽいし、全然ハンターカブじゃねーぞ」と思っていた。
真剣にオフロードで使うことを考えて作られたハンターカブに比べて、ずいぶんお手軽にイメージだけ変えたような印象だった。だから編集部から「試乗しますか?」と言われて「そんなもん、乗らなくてもわかる」なんて軽口をたたいていた。ところが乗ってみて驚いた。大間違いだったのである。
またがった瞬間、ポジションがスーパーカブよりも、ずいぶんゆったりとしていることに気がついた。以前のリポートでも書いたけれど、スーパーカブは昔の小柄な日本人体形で考えられているからか、シートとハンドルの距離が短い。そのため大柄なライダーが乗るとちょっと窮屈な感じがする。しかもハンドルは完全に固定されてしまって調整や変更ができない。
ところがクロスカブはわずかだが車体がスーパーカブよりも大きい。全長やホイールベースがスーパーカブより数cmだけ伸びている。一つひとつの数値をみれば違いははわずかだけれど、車体寸法すべてが大きくなっているから総合的にはとても大きな差になる。さらにハンドルが一般的なオートバイのようにアップタイプのパイプハンドルをクランプで固定しているからアップライトなポジションになるしハンドルを前後に動かして調整することもできる。いざとなったら交換してしまうということだって可能なわけだ。...