歴史と実利の間で
「ジャガーFタイプ」に新たに加わった、2リッター直4ターボエンジン搭載モデルに試乗。従来のマルチシリンダーモデルとのドライブフィールの違いを確かめるとともに、スポーツカーのパワーユニットのあり方について考えた。
まずは最新モデルの見た目をチェック
ここへきてジャガーも一気に種類が増えてきた。「XJ」「XF」「XE」と“X”から始まるのがセダンで、「Fペース」、ベイビージャガーこと「Eペース」、そして電気自動車(EV)の「Iペース」と後ろに“ペース”が付くのがオルタナティブ(SUVやクロスオーバー)だ。それにスポーツカーのFタイプを加えて全ラインナップということになる。実は「Iタイプ」というのもあるのだが、それはフォーミュラEを戦うパナソニック・ジャガー・レーシングのマシンの名前。
今回試乗したFタイプR-DYNAMICクーペ(FR/8AT)は、2018年モデルに切り替わった際に加わった2リッターエンジンを搭載したモデルだ。車両価格は873万円。テスト車には実に332万6000円分のオプションが装着されていた。
しっかりとワックスをかけたポリバケツのようなボディーカラーのFタイプを、まずはまじまじと眺めてみる。2018年モデルでもロングノーズ、ショートデッキの古典的スポーツカーのシルエットはそのまま。ヘッドランプにLEDが組み込まれ、フロントバンパー左右に開いたエアインテークの形状がやや変わったが、見た目の変更は最小限にとどめられた。
乗り込んで運転席に腰を落ち着ける。座面の後部(お尻部分)を沈み込ませ、前部(太もも部分)を少し持ち上げてしっかりと体をホールドするポジションを獲得すべく、あれこれ調整してみる。獲得できた。永遠に獲得できないモデルもある。スポーツカー特有の低い着座位置からの眺めは気分を高揚させる。そういえば2018年モデルから、シートを固定するフレームが、軽量化のためにマグネシウム製の新しいものに変わったそうだ。...