底知れぬパフォーマンス
ドゥカティのスーパースポーツバイク「パニガーレV4 S」に試乗。伝統のV型2気筒エンジンに別れを告げ、新開発のV型4気筒を搭載したフラッグシップマシンの走りを、スペインのサーキットから報告する。
MotoGPのマシンさながら
イタリア北部、ボローニャに拠点を置くドゥカティは深紅のボディーをコーポレートアイデンティティーに掲げ、レースに参戦することで名声を築いてきたメーカーだ。しばしばフェラーリが引き合いに出されるのはそういう出自ゆえだが、この両社は距離的にも近く、アウトストラーダを使えば30分ほどで行き来できる距離にある。
ラインナップされるスポーツモデルには例外なく高いパフォーマンスが与えられているものの、時折それらをかすませるとんでもないスペックのロードゴーイングレーサーを送り出すという点でも似ている。先ごろドゥカティから発表されたパニガーレV4 Sはまさにそういう一台である。
このモデル最大のトピックは、二輪レースの最高峰MotoGPに送り込まれているファクトリーマシン「デスモセディチGP」と相似形にあるエンジンが搭載されていることだ。水冷V型4気筒という基本形式はもちろんのこと、シリンダー挟み角やボア径、各気筒が不等間隔で爆発していく点火シークエンスまでもが同仕様ゆえ、それが発するエキゾーストノートはレース中のオンボード映像から聞こえてくるホンモノとそれほど大差ない。
そんなレース由来のエンジンがどれほどの最高出力を発生するのかといえば、1万3000rpmで214psをマークする。それに対する車重はガソリン満タン状態でも195kgにすぎないため、パワーウェイトレシオはわずか0.91kg/psというちょっと異常な領域に到達しているのだ。
もちろん、それをむき出しのままにはしていない。トラクションコントロール、スライドコントロール、ウイリーコントロール、コーナリングABS、エンジンモード、セミアクティブサスペンションといったありとあらゆる電子デバイスが詰め込まれ、そうやすやすと限界を超えないように車体にはセーフティー機能が張り巡らされている。...