伊達男も努力する
マセラティのフラッグシップサルーンである「クアトロポルテ」。2018年モデルでは、3リッターV6エンジンが最新スペックにアップデートされたほか、先進運転支援システムが充実した。「クアトロポルテS グランスポーツ」のステアリングを握った。
ダンディズムは細部に宿る
昨年末に登録された2018年モデルのクアトロポルテSである。外観ではヘッドライトがフルLEDになったことが新しい。テスト車は17年モデルで導入された「グランルッソ」とグランスポーツの2種類のトリムオプションのうちの後者で、内外ともにたいへんスポーティーな仕立てになっている。
こんにちスポーティーな仕立てというと何を指すか、見本のような男っぷりだ。足元のホイールは「チターノ合金」製で、トライデントを思わせる3本×5方向で構成されている。なんと21インチ! 奥に赤いキャリパーがチラリとのぞく。薄いタイヤは前245/35、後ろ285/30のZR規格の「ピレリPゼロ」。赤と黒の対照がなにごとかを訴えかけてくる。
グランスポーツを象徴するのが、トライデントエンブレム、三又の鉾(ほこ)の3本のツノの下の水平線の一部がブルーに塗色されていることだ。1920年代、ということはアルフィエーリを筆頭とするマセラティ3兄弟が奮闘していた創業初期に使われていたデザインだという。マセラティのファンならこれだけで感涙だろうし、知らない人にとっては、美は細部に宿る、と申しましょうか、小さなひと手間によってダンディズムはつくられることの証左になるのではあるまいか。...