2026年上期のNISA口座における買付額が13.8兆円と過去最高水準に達する中、投資信託市場への資金流入の拡大が続いています。とりわけ「つみたて投資枠」対象の全世界株式や米国株式といった低コストインデックス投信への集中が顕著です。一方で、成長投資枠の買付データを分析すると、成長投資枠を活用してつみたて対象投信を一括購入する動きも示唆されます。それ以外では、NISA対象外である「毎月分配型」への根強いニーズなど、個人投資家の多彩な実態が見えてきます。本稿では、投信市場の最新資金動向を解説しつつ、今後の資産分散のあり方を考察します。
NISA効果で投信市場に資金が集中!
投資家が選ぶ「低コストインデックス」の強さ
前回の連載「【新NISA】2027年「こどもNISA」始動でさらに期待!2026年上期のNISA買付額は「13.8兆円」で過去最高水準に!」では、NISA口座における買付額が2026年上期に大きく増加したことを取り上げました。実際に、NISAにおける買付額の増加は、投資信託の資金流入の拡大にも寄与しています。とりわけ外国株式型の投資信託に資金流入が集中している状況が継続中です。中でもNISAのつみたて投資枠の対象となっている全世界株式や米国株式を投資対象とする低コストのインデックス投資信託に、圧倒的な水準の資金流入が見られています。
そこで今回は、投資信託の資金流入の状況について、「NISAの対象商品か否か」という観点から確認してみたいと思います。
以下、投資信託を「つみたて投資枠の対象商品」「成長投資枠のみの対象商品」「そのいずれも対象外となっている商品」の3つに分けて資金流出入を集計してみました。
個人投資家の投資信託への投資スタンスとして
毎月コツコツ積立が主役に定着!
これを見ると、NISAのつみたて投資枠の対象商品(調査時点で347本)の資金流入額が安定かつ高水準で推移していることが確認できます。2026年上期は、つみたて投資枠の対象投信の資金流入額は、合計で6.3兆円に達しています。一方で、成長投資枠のみの対象商品(調査時点で2011本)の資金流入額は3.8兆円となっています。
一方で、前回の連載で掲載した「NISAの買付額」データを見ると、つみたて投資枠よりも成長投資枠の買付額の方が大きく上回っています。成長投資枠では株式への投資もあるとはいえ、今回のグラフ(投信への資金流入)の傾向と考え合わせると、成長投資枠を使って「つみたて投資枠対象のインデックス投信」を購入している投資家が一定数いることが示唆されます。
もう一度、グラフで投信への資金流入の月別推移を見てみましょう。2025年1月や2026年1月など、年初につみたて投資枠対象商品への資金流入が突出して増加しています。NISAの成長投資枠で、年初のタイミングでまとまった資金を使い「つみたて投資枠の対象投信」を一括購入する動きがあるのだろうということが、推察できるでしょう。
「毎月分配型」を選ぶ投資家も根強い
積立の「土台」の先に広がる次の資産分散
さて、成長投資枠のみの対象商品で資金流入が目立っていた投資信託についても見ていきましょう。2026年の年初は金関連型の投信、4月以降は日本株やテーマ株、新興国株を対象とする新規投信の大型設定が成長投資枠の買付に寄与していた可能性が高そうです。ただし、8月以降の状況を見ると、成長投資枠のみの対象商品は資金流入が急減速しています。これと対照的に、NISA対象外の投資信託は資金流入額が安定しており、その存在感が相対的に高まっています。この背景には、NISAの対象から除外されている毎月分配型投信の存在がありそうです。毎月分配型投信への安定した資金流入が、NISA以外での投資ニーズを反映したものと考えられます。
このように投資信託市場では、積立投資の定着を背景に、つみたて投資枠の対象商品へ高水準で安定した資金流入が続いています。一方で、高まりつつある金融市場の変動性や、債券利回りの久々の高水準を受け、投資家の間では新たなニーズも出てきています。
積立投資により積み上がった資産は外国株式中心になっていると思われます。ただ、成長投資枠などを活用してより幅広い資産への分散などを行い、ポートフォリオの耐性を高めていくことも検討してもよいタイミングだと思います。
本記事は2026年10月24日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。