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なぜスマホメーカーは、製品を売った後「使い方教室」を無料で開催するのか?


Photo: Adobe Stock
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どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。

売った後なのに、
なぜ無料で時間をかけて教えるのか?

あるスマホメーカーでは、使い方教室を無料で開催しています。

初心者向けからクリエイティブな使い方まで、さまざまなセッションがあります。普通なら、スマートフォンやタブレットを販売した時点で売上は成立しています。

それなのに、なぜ店舗のスペースやスタッフの時間を使って、無料で使い方まで教えるのでしょうか。

実はこれ、商品を売った瞬間をゴールにせず、「使いこなせた」という成功体験を増やすことで、次の購入につなげる仕掛けと考えることができます。

高機能でも、
使えなければ「高い買い物」になる

例えば高機能なスマホを買っても、電話、LINE、ネット検索、写真を撮る、くらいしか使っていなければ、「こんな高い機種じゃなくてもよかったかも」と感じるかもしれません。

商品にはたくさんの機能があっても、お客様が使わなければ、その価値は存在しないのと同じです。

反対に、「写真の撮り方を覚えた」「動画編集ができるようになった」「仕事で便利に使えるようになった」という経験が増えれば、「これを買ってよかった」という評価に変わります。

つまり、重要なのは、高機能な製品を作ることだけではありません。お客様自身に、その価値を実際に体験してもらうことなのです。

「使い方が分からない」を、
買った後の後悔にさせない

高額商品では、購入後の不満が必ずしも商品の性能から生まれるとは限りません。

「設定が難しい」「何ができるのか分からない」「結局使いこなせない」という状態でも、「自分には合わなかった」と判断されることがあります。

そこで、「分からなければ教えてもらえる」という場所を用意します。すると、「使えないからやめる」ではなく、「使い方を覚えて、もっと使う」へ変えることができます。

無料教室は、困った人への親切だけではなく、購入後の離脱を防ぐ仕組みでもあるのです。

使いこなすほど、
次も同じブランドを選びやすくなる

例えばiPhoneで写真の撮り方を覚えたとします。撮影方法だけでなく、写真の整理、編集、共有、他のApple製品との連携なども使うようになります。

すると次にスマートフォンを買い替えるとき、単純な価格比較だけではなく、「今まで覚えた使い方を、そのまま使いたい」という理由が生まれます。

別のブランドへ替えると、操作方法を覚え直す必要があるかもしれません。

つまり、使いこなしてもらえばもらうほど、商品の価値だけでなく、そのブランドを使い続ける価値も大きくなります。無料で使い方を教えることが、長期的には次の買い替えにつながるのです。

教室そのものが、
関連商品の「体験売り場」になる

さらに面白いのが、使い方を学ぶ過程で、別の商品にも触れることです。

例えば、「iPadとApple Pencilで絵を描こう」というセッションでは、その名の通りiPadとApple Pencilを使った描画を体験します。

最初は、「iPadは動画を見るくらい」と思っていた人でも、実際に絵を描いてみれば、「こんな使い方もできるのか」と気づくかもしれません。

すると、「Apple Pencilが欲しくなる」「より大きなiPadが気になる」「Macとの連携を試したくなる」という新しいニーズが生まれます。

スタッフが、「これも買ってください」と営業する必要はありません。新しい使い方を体験すること自体が、関連商品の必要性を教えてくれるからです。

商品ではなく、「できること」を売っている

無料セッションが面白いのは、単なる操作説明にとどまらないところです。

例えば、「カメラ機能はこちらです」と機能説明をするだけではなく、「もっと魅力的な写真を撮ろう」という形で教えています。

お客様が欲しいのは、カメラ機能そのものではありません。

「きれいな写真を撮りたい」「子どもの成長を残したい」「旅行の思い出を残したい」「絵を描きたい」「動画を作りたい」という結果です。

つまり無料教室によって、「この製品にはこんな機能があります」ではなく、「この製品を使うと、あなたはこんなことができます」を体験させているのです。

商品の価値を、スペックではなく成果として理解してもらう販促になっています。

無料教室が、
もう一度店舗へ来る理由になる

製品を買ったお客様が、次にショップへ来るのは何年後か分かりません。何もなければ、オンラインだけで済ませる人もいるでしょう。

しかし、「写真のセッションに参加したい」「機能について知りたい」「子どもとプログラミングを体験したい」
という理由があれば、再び店舗へ来てもらえます。

店舗へ来れば、「新しいスマホを見る」「タブレットを触る」「スマートウォッチを着けてみる」「アクセサリーを使ってみる」という新しい接点が生まれます。

つまり「使い方教室」は、商品購入後のサポートであると同時に、既存客をもう一度売り場へ戻す来店理由にもなっているのです。

他のお店でも使える
「売った後に使い方を教える」設計

この考え方は、スマートフォン以外でも使えます。

・カメラ店
カメラ購入者向けに、「初心者写真教室」を無料開催する。撮影が上達すればカメラへの満足度が上がり、レンズや三脚などの関連商品も必要になる。

・調理器具店
高級な包丁や調理家電を購入した人に、「使いこなし料理教室」を無料提供する。使う頻度を増やし、関連する調理器具や食材の購入にもつなげる。

・住宅設備会社
設備を販売した後に、「光熱費を抑える使い方」「お手入れ方法」などを無料で教える。購入後の満足度を高めながら、点検、消耗品交換、次の設備相談につなげる。

まとめ

この仕組みを販促の観点から整理すると、

・製品を使いこなしてもらい、「買ってよかった」という成功体験を増やす
・「使い方が分からない」という理由による購入後の不満や離脱を減らす
・使い慣れるほど、次の買い替えでも同じブランドを選びやすくする
・新しい使い方を体験させることで、関連商品の必要性を自然に気づかせる
・無料セッションそのものを、既存客がもう一度店舗へ来る理由にする

という、「売った後に無料で教える」のではなく、「使いこなせるほど商品価値を高く感じてもらう」ことで、次の商品まで売れやすくする販促の仕掛けなのです。

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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