惑星の支配者
ロールス・ロイスがラインナップする豪華絢爛なドロップヘッドクーペ「ドーン」。全長は5.3m、エンジンは12気筒ツインターボという巨艦でオープンエアを味わうというのは、いったいどのような行為なのか? 類例のないその体験を報告する。
無駄なクルマはつくらない
ドーンで、ドーンと乗りつけてやりましょう! とほった君が電話の向こうで言った。いいですねぇ。私はそう笑って答えた。
「ベイビー・ロールス」と呼ばれたわりにはさほど小さくもなかった小型ロールス・ロイスである「ゴースト」の2ドアクーペである「レイス」のオープン版というべきモデルが、ドーンである。4ドアセダンからワゴン、クーペ、そしてコンヴァーティブルへと派生モデルを次々と生み出していくのがBMWのビジネス手法で、それをロールス・ロイスにも転用しているわけである。いまのところワゴンは出ていないけれど、いずれ「カリナン」という、すでに名前が公表されている「ファントム」ベースの砂漠のロールス・ロイスが登場する。
ただし、ロールス・ロイスは昨年過去2番目の販売を記録したものの、年産は約4000台。仮にカリナンがすべての上得意客をつかんだとしても、グッドウッド工場を拡張中とはいえ、いきなりこれまでの倍にはできないだろうから、せいぜい年産5000台といったところか。つまり、フェラーリよりはるかに少ない。オーダーメイドを徹底させて無駄なクルマはつくらない。顧客ひとりひとりに合わせてお好みのカラーやモディファイを施すことには、それはものすごく面倒な作業であろうけれど、もちろんメリットもある。超富裕層の携帯の番号とEメールのアドレスがたやすく手に入るのだ。
そこからどんなビジネスが展開されるのか? おそらく、ロールス・ロイスを100台、ホテルの送迎用にド〜ンと注文してもらったり……というようなことは先方から電話があるとして、こちらから連絡するのはやっぱりBMWグループに対する投資のお話でしょうか、まったくの想像ながら。...