【たかぎさんのおはなし-競馬と人がつないでくれる日常-】
一番最初の「競馬のおはなし」にも書いたが、僕が競馬を知るきっかけになったのは、ディープインパクトだった。
そこから競馬場へ連れて行ってもらってレースを観たり、コロナ禍、入場制限の中で行われたジャパンカップを現地で観て、アーモンドアイの圧倒的な強さに感動したり。それなりに競馬を楽しんできた。
ただ、競馬は好きだったけれど、昔の名馬の血統をすらすら言えたり、レースラップを細かく分析したりするような、いわゆる「めちゃくちゃ競馬に詳しい人」ではなかった。
今だって、たぶんそうだと思う。
そんな僕が、以前よりずっと競馬に熱を注ぐようになった。そのきっかけを考えると、やっぱり武豊騎手の存在は大きい。
そして、もう一つ。ドウデュースと、キーファーズ・松島正昭オーナーの存在だった。
今回、松島さんに「昔のこととか、勝手に書いてもいいですか?」と聞いたら、「ええよ」と言ってもらえたので、少しその話を書いてみようと思う。
武豊騎手が初めて朝日杯FSを勝った。その相棒がドウデュースだった。僕が「ドウデュース」という馬をちゃんと認識したのは、新馬戦でもアイビーステークスでもない。朝日杯フューチュリティステークスだった。
もしかしたら、それまでのレースもテレビか何かで観ていたかもしれない。でも、その時点でドウデュースという馬に特別な思い入れがあったかと言われれば、たぶんなかった。
武豊騎手、22回目の挑戦で朝日杯FS初勝利
僕にとって特別だったのは、あの朝日杯FSだった。武豊騎手が、22回目の挑戦で初めて朝日杯を勝ったレース。
長く第一線で活躍し、数え切れないほどの記録を作ってきた武豊騎手にとって、それでもまだ勝っていないG1がある。武豊ファンとしては、何としても獲ってほしいタイトルだった。
その悲願を叶えた相棒が、ドウデュース。あのレースを境に、僕にとってドウデュースは「強い競走馬」というだけではなくなった。武豊騎手に朝日杯のタイトルをプレゼントしてくれた馬。
それだけで、自然と応援したくなった。そしてドウデュースについて色々と調べていくうちに、そのオーナーである松島正昭さんのことも知るようになった。松島さんのことを知っていく中で、強烈に惹かれたのが、その夢だった。
「武豊騎手が凱旋門賞を勝つところを見たい」
その思いを持って馬主を続け、実際に海外で馬を買い、挑戦を続けている人がいる。言葉で「夢」と言うのは簡単だ。でも、それを実現するために自分のお金と時間を使い、本当に何年も挑戦し続けるのはまったく別の話だと思う。
到底、自分にはできないことを本気でやっている。それが純粋に格好良かった。そして、その松島さんがドウデュースと出会った。朝日杯を勝ち、日本ダービーを勝ち、有馬記念を勝ち、天皇賞・秋、ジャパンカップまで勝った。しかも、その背中には武豊騎手がいた。
僕が勝手に格好いいと思って見ていた人が、自分の夢を追い続けた先で、本当にとんでもない馬と巡り会ってしまった。もちろん、凱旋門賞という最大の夢はまだ残っている。
それでも、この一連の物語をリアルタイムで見られたことが、僕が競馬にのめり込んでいった大きな理由の一つだったと思う。
松島さんが大きなレースを勝ったあとの口取り式。呆然としたような姿で武豊騎手の横に立っている姿が、SNSで話題になることも多かった。
僕は、あの姿が好きだった。馬主だから応援していた、というよりも、
「武豊と一緒に夢を追いかけている松島さん」
そのもののファンになっていたんだと思う。そしてずっと見ていた人と、都内で偶然出会うことに。
僕のSNSを見てくれている人からすると、松島さんとは昔から付き合いがあるように見えるかもしれない。最近は本当によくご一緒させてもらっている。でも実は、知り合ってまだ1年半くらいしか経っていない。
ドウデュースが現役だった頃には、一度もお会いしたことがなかったはずだ。だから、今こうして一緒に仕事をさせてもらったり、食事をしたりしていることが、たまに不思議に感じる。
最初の出会いは、本当に偶然だった。都内のある飲食店で、僕が会食をしていた時のこと。自分が座っていた席の、ちょうど後ろのテーブルにいたのが、武豊さんと松島さんだった。
武さんとはその頃すでに仕事をご一緒していたこともあり、お話をしている中で松島さんを紹介していただいた。そこから「何か仕事でも一緒にできることがあれば」という話になり、後日、京都でお会いする約束をした。
さらに松島さんの息子さんが僕と同級生で、スポーツ関連の事業をされていたこともあり、そちらも紹介していただいた。本当に最初は、そんな偶然からだった。
その後、2025年1月に行われたドウデュースの引退記念パーティーにも招待していただいた。少しずつご一緒する機会が増えていき、今ではインゼルやキーファーズのお仕事まで一緒にさせてもらうようになった。
「もしも、凱旋門賞を勝つような馬に巡り会えたら…」
これは、後になって知った話。松島さんの息子さんと仲良くなり、二人で食事をしていた時、僕がこんなことを言ったらしい。
「まあ、絶対そんなこと起きないですけどね」
そう前置きした上で、「もし自分が、凱旋門賞に挑戦できるような馬と巡り会うことがあったら、自分の勝負服じゃなくて、松島さんのところの勝負服で走ってほしいですよね。名義も松島さんで。やっぱり武豊さんと松島さんで勝ってほしいですもん」
正直、何気なく話したことなので、細かい言葉までは覚えていない。でも、そんなことを言ったらしい。息子さんは、その話を松島さん本人に伝えたという。
勝手な思い込みかもしれないけれど、そこから少し松島さんに可愛がってもらえるようになった気がしている(笑)。でも、この話自体は今でも本心だ。
もし奇跡的にそんな馬と出会うことがあったとしても、僕はやっぱり、
「武豊×松島正昭」で凱旋門賞を勝つところが見たい。
たぶん僕だけじゃない。
武豊ファンで、ドウデュースを応援して、松島さんの挑戦を見てきた人の中には、同じことを思っている人がたくさんいるんじゃないかと思う。ダービーを勝った。有馬記念も勝った。天皇賞・秋も、ジャパンカップも勝った。
それでも、まだ物語には続きがある。もちろん、競馬はそんなに簡単じゃない。ドウデュースのような馬に出会うこと自体が奇跡に近い。ましてや凱旋門賞に挑戦し、そこで勝つなんて、とんでもなく遠い話だ。
それでも、もう一度見たいと思ってしまう。武豊騎手がいて、松島さんがいて、とんでもなく強い馬がいて。みんなで「今年こそは」と言いながらフランスへ向かう。
そして、いつか本当にロンシャンで勝つ。そんな光景を見てみたい。そう考えると、たまに自分でも分からなくなる。
僕は競馬が好きなのか。
武豊が好きなのか。
松島さんが好きなのか。
たぶん、全部なんだと思う。
松島さんがキーファーズサロンに登場
競馬そのものはもちろん面白い。でも僕が競馬にこれだけ惹かれるようになったのは、馬が走ることだけじゃなく、その一頭の馬を中心に、いろんな人の夢や人生が重なっていくことを知ったからなのかもしれない。
ドウデュースは、それを僕に教えてくれた馬だった。そして今、僕にできることは何か。凱旋門賞を走るような馬を見つけることでもなければ、育てることでもない。ましてや乗ることなんて当然できない。
だったら――
松島さんをYouTubeに呼んで、ドウデュースの話をたくさんしてもらおう。笑
ということで、キーファーズサロンのYouTubeで、松島さんに当時のことを色々と話してもらいました。
ドウデュースを応援していた人。
武豊騎手を応援している人。
そして、松島さんと武豊騎手が追いかける「夢の続き」を見たい人。
まだ観ていない方は、ぜひ観てみてください。