GAFAに代表される大手テック企業は、AIスタートアップ企業と敵対するように思えるが、実は着々と規制に引っかからないような「隠れ買収」を行なっている。このままでは大手テック企業が、ますますIT市場を席巻することになるという。本稿は城田真琴著『生成AI・30の論点 2025-2026』(日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「隠れ買収」で40億ドルの
新興AI企業が消えた日
マイクロソフトやアマゾン、グーグルといった大手テック企業が、AIスタートアップとの間で従来のM&Aとは異なる形の提携を結ぶケースが増えている。その特徴は以下の通りである。
・スタートアップの技術やIP(知的財産)のライセンス供与を受ける
・創業者を含む従業員の大半を直接雇用する
・スタートアップ企業自体は法的に存続させる
この手法により、大手テック企業は実質的にスタートアップを傘下に収めつつ、形式上は独立した企業として存続させることができる。業界では、この手法を「隠れ買収」と呼ぶ声もある。代表的な事例は以下の通りである。
Inflection AIは設立から約1年で13億ドルの資金を調達し、40億ドルの評価額を得るなど、急成長を遂げていたものの、OpenAIやアンソロピックなどの競合他社との差別化に苦戦し、持続可能なビジネスモデルの確立に課題を抱えていた。マイクロソフトとの提携直前には、追加の資金調達が困難になっていたと報じられていた。...