秘めたる魔性
「BMW i4 M50」は前後のモーターを合わせたシステム最高出力544PSを誇るハイパフォーマンス電気自動車だ。「M」と「Mスポーツ」の間に入る「Mパフォーマンスモデル」という位置づけだが、その走りにはMっぽさがみじんも感じられなかった。これはどうしたことだろうか。
10年目の「i」ブランド
今やすっかりBMWのBEVを統括するサブブランドの感がある「i」。その歴史は2013年、BEVの「i3」とPHEVの「i8」の登場にまでさかのぼる。
核となるカーボンモノコックの素材ひとつとっても、日本で作られた原糸を水力発電を用いたアメリカの工場で焼成し、内装にはリサイクル材を多用。アッセンブリーラインにも最大50%の供給能力がある風力発電を用いるなど、当時としてはサステイナブルがきっちり追求されたプロダクトは、独創的なデザインとも相まってブランドの指向性を強く表していたように思う。
その両車がディスコンとなったいま、iを頂くプロダクトで最も強くその意志を継ぐのは「iX」ということになるだろうか。賛否が分かれるだろうデザインは、SUVプロポーションにして0.25という卓越したCd値を実現。内装はリサイクル材やオーガニック加工を多用するなど、やはりメッセージ性の強いものとなっている。
その骨格はカーボンやアルミの複合構造だが、大本となっているのは2015年に発表された先代「7シリーズ」から採用されている「クラスターアーキテクチャー=CLAR」だ。時系列から推するに、BMWはiブランドの立ち上げと並行してその第2段階を見据えてCLARを設計していたとみることもできる。...