東風の吹くところ
いよいよデリバリーが始まった「マセラティ・レヴァンテ」のディーゼルモデルに試乗。いたるところにちりばめられたブランドシグネチャーとは裏腹に、巨大なボディーやエンジンのフィーリングなど、筆者の知る“マセラティ”とはまるで別物……。お前は一体何者だ? その正体がはっきりと見えたのは、伊豆のワインディングロードだった。
お前は本当にマセラティなのか?
お前は誰だ? そう私は問いかけるのだった。レヴァンテ。「スペイン北東部に地中海から吹く東風」のディーゼル。君の名は? 君の名は?
マセラティであることが信じられなかった。レーシングカーづくりから始まったイタリアの名門。これは私の知るマセラティではない。マセラティは大きな4ドアはつくったことがあるけれど、こんな山のようなクルマは見たことがない。なるほど、そのグリルやらフロントフェンダー上部の3連の冷却口やら、ルーフやらショルダーラインやらにその面影を見て取ることはできる。しかれどもレヴァンテよ、君はいったい何者であるのか。
ドアを開ければ、ヴィーノ・ロッソ、ペルファボーレな、「赤ワインちょうだい」といっているにすぎないわけだけれど、イタリアンレッドのシートとダッシュボードが目に飛び込んでくる。それはもうブラッディな赤で、いきなり高揚する。ラグジュアリー・スポーツカーもかくやのシートに座れば、トライデントのマークが入ったアナログ時計がちゃんと備わっている。まごうかたなきマセラティである。
細かい話ながら、試乗車の「カーボンファイバートリム」は23万円で、予算が許すのならぜひともつけたい。しっとりとした肌触りのシートは「フルプレミアムレザー」で、36万3000円のオプションだけれど、予算が許すのなら、これもぜひつけたい。「ドライバーアシスタンスパッケージプラス」は、45万円のオプションだけれど、ま、これは予算が余っていたらつける程度でよろしい。マセラティを選ぶ男にレーンデパーチャーワーニングだのフォワードコリジョンワーニングだの、アダプティブクルーズコントロールだのが似合うだろうか。でも、ブラインドスポットアラートはあるといいな……、そうすると結局45万円のエクストラが発生するわけですけれど。...