長旅をともに
長らくCセグメントハッチバックの基準とされてきた「フォルクスワーゲン・ゴルフ」だが、今もその地位は安泰か。方々から出来のよさが伝わってくる新型「プジョー308」は、ゴルフにどれだけ迫っているのか。2台を同時に連れ出し、それぞれの実力を検証した。
“牙付き”に大変身
プジョーの新型ハッチバックと、それを迎え撃つ横綱ゴルフとの比較試乗、ときたらその昔は何日もかけて走りに行くような大イベントだった。若手編集者だった私にとっては何がなんでも潜り込まなければならない一大事で、「お手伝いとして連れて行ってください!」と方々に売り込んで、先輩方の目を盗みつつできるだけ長いこと乗り回そうとしたものである。いやもちろん、今は環境が違うことは重々承知、のんきな時代でないことも分かってはいるけれど、それにしても世の中の体温は低め、というかいまひとつ盛り上がっていないように感じるのは私だけでしょうか?
そもそもCセグメントハッチバックというジャンルにあまり注目が集まらないのか、いやいやそれよりも計画どおりに新型車が供給されないという昨今の事情が大きいのかもしれない。本国発表からほぼ1年後のこの4月に国内発表された新型プジョー308だが、新生ステランティス ジャパンの発表も「全国デビューフェアは7月以降を予定しています」なんて、どうにも歯切れが悪い。プジョーに限らず、コロナウイルス感染症とサプライチェーンの混乱に部品不足、加えてウクライナ侵攻に円安、エネルギー価格の上昇ときては見通しを立てることもままならない。
ほぼ1年前に導入された新型8代目ゴルフにしても、まだ時々街なかで見かける程度。おっ新型だ! と目を引くということは、それだけ今も珍しいことの裏返し、ゴルフのほうもやはり装備によってはいまだにデリバリーが思うようにいかないという話を聞く。インポーターの苦労がしのばれるというものである。
新しい308は、末尾の数字を増やさずに「308」とモデルナンバーが固定されてから3代目、先代からは9年ぶりのモデルチェンジだという。先にモデルチェンジした「508」や「208」と同じく、「牙」を持つ攻撃的な顔つきと、鋭いエッジが立ったシャープなデザインに生まれ変わった。先代は丸みを帯びた、ちょっと“ださかわ”の雰囲気が特徴だったのだが、新型はいかにも今風のプレミアム志向が見て取れる。従来型と並べたら同じモデルとは思えないぐらいの大変身である。...