一点突破
新型「レクサスLX」には“オフロード”を名乗る悪路走破に特化したグレードがある。「1290万円もの高額車で悪路?」と思われるかもしれないが、とにかくある。その悪路も含めて500kmほど試してみた結果、想像以上のマニア向け物件であることが判明したのだった。
ランクルとのシャシーのちがい
レクサスLXのハードウエアの主要部分はあの「ランドクルーザー300(以下、ランクル)」と共有する。その悪路性能は掛け値なしに世界トップクラスであり、独立ラダーフレームとリジッドサスペンションをもつ高級SUVという定義では、ほかには「メルセデス・ベンツGクラス」くらいしか存在しない。競合他車がほぼ例外なく、どんどん舗装路寄りのクルマづくりになっているのに対して、LXのそれはちょっと異質である。もちろんLXも世代交代ごとに舗装路性能を確実に高めてはいるものの、悪路性能あるいは極限時の信頼性における“ゆずれない一線”のレベルが他車とは別次元に高い。
ハードウエアにおける最大のちがいがエンジン排気量だった先代とは異なり、新しいLXが搭載する3.5リッターガソリンターボは、環境対応の都合もあってか、ピーク性能値も含めてランクルのそれと共通となった。そのかわり……なのかはともかく、先代では共有していたシャシーのハードウエアにランクルとの明確な差別化がなされたのが新型LXの特徴だ。
ポイントは大きく2つある。ひとつがサスペンションで、ランクルはコイルばね(一部グレードにAHCがあった先代ランクル200に対して、新型はコイルに統一)だがLXは空気ばねと油圧回路を一体化した「アクティブハイトコントロール(AHC)サスペンション」となり、連続可変ダンパーの「アダプティブバリアブルサスペンション」も標準装備。実車を見ると前後ともにコイルが残されているが、「実際にコイルが効力を発揮するのは縮み側最後の約50%で、あとは万が一AHCが壊れてしまったときに“生きて帰る”ための車高を確保するためです」とは開発担当氏。
また、ランクルのパワステが信頼性が証明されている油圧式をベースに電動式を追加した重ねがけなのに対して、LXのそれはシンプルな電動式である。電動パワステは操舵感がよりすっきりとするいっぽうで、信頼性は油圧式にゆずるとされるが、LXの電動パワステが壊れる状況というのもリアルには想像しにくい。裏を返せば、ランクルの信頼性要求レベルが信じられないくらい高いということだ。...