わかる大人のスポーツセダン
プジョーのモータースポーツ部門が開発したハイブリッドセダン「508プジョースポールエンジニアード」。フランスでステアリングを握った筆者は、プジョーらしさに満ちたアツい走りに、思わずほほをゆるめるのだった。
鋭いけれど滑らか
プジョーのスポーツモデルには昔から、無理めなチューニングをしていないのに速いし楽しい、という印象がある。「205GTi」しかり、「106 S16」しかり、「RCZ R」しかり、「プジョー308GTi by PEUGEOT SPORT」しかり。ほかにも多々あるけれど、いずれもピーキーなそぶりなどみじんも見せず、大人の味だ。そしてフランス本国には設定がある508プジョースポールエンジニアードも、ばかっ速だけどやっぱりその延長線上にあるクルマだった。
ベースとなったのは、日本にも導入されている「508 GTハイブリッド」。フロントに備わる最高出力110PSのモーターはそのままに、1.6リッターターボのピュアテックエンジンを180PSから200PSにまでチューンナップし、新たにリアへ113PSのモーターを設けたものだ。システム全体では最高出力360PS、最大トルク520N・mと、プジョーのプロダクションモデルとしては史上最強の数値だ。
となれば、それを堪能してみたくなるというもの。走行モードをスポーツにしてアクセルペダルを踏み込んでいくと、モーターの強力な後押しに気持ちよくパワーを膨らませていくエンジンが見事な連係プレイをみせて、メキメキとスピードを伸ばしていく。スタートダッシュも中間加速も、「360PSで0-100km/hが5.2秒」というのはずいぶん謙遜しているんじゃないか? と感じられるほど。間髪入れずに立ち上がる電動ブースターの効きめが加速感を強調してるからなのだろうけれど、だからといって荒さや粗さがあるわけでもなく、素早く鋭いけれど滑らかさを失わないのが、いかにもプジョーらしい。
とはいえ、そういうクルマだけにシャシーはかなりハードだ。慣れてくるとガチンとはね返す類いのハードさじゃなく、鍛え上げられた筋肉のように強靱(きょうじん)さのなかにしなやかさがあって、ほかのプジョーと同じように路面をしっかりつかみ続けている様子が感じられるのだけれど、いずれにせよ、同乗者が内心では閉口しそうなくらい引き締められているのは確かだ。それだからしてコーナリングスピードも通常の508と比べて明確に速い。スポーツドライビングが好きな人なら間違いなく楽しいと感じられるはずだ。...