暫定ベスト・イン・Cクラス
全車が電動化された新型「メルセデス・ベンツCクラス」には、もともと豊かなトルクを誇る2リッターディーゼルエンジンをさらにモーターでアシストするぜいたくなパワートレインが搭載されている。「ステーションワゴン」でその仕上がりを試した。
SUVの時代でもステーションワゴン
かつてW124型の「Eクラス」のころまでは、メルセデスのステーションワゴンは「ベンツのバン」と呼ばれたこともあった。もちろん、一般的ではなく、クルマ好きの仲間内や業界内での話である。商用バンとは月と鼈(すっぽん)もいいところなのに、あえてそう呼ばれていたのは、メルセデスの「Tモデル」(当時はそういう呼称だった)に対する憧れとやっかみに加え、「仕事人」のための実用車としての敬意がないまぜになったあだ名のようなものと記憶している。
そういえば業界内では「日帰りワゴン」という呼び方もありました。どんなに遠くまで出かけても、ベンツのバンならその日のうちに、あるいはてっぺんを回っても帰ってくることができる、そうせざるを得ない忙しい人のための相棒という意味である。泊まりになんないすかねー、と愚痴をこぼすことも一度ならずありました。最近ファッションピープルかいわいで古い「300TE」などの人気が再燃しているのも、質実剛健な武骨さがカッコいいばかりでなく実用的な性能を併せ持つことが注目されているからだろう。
それが今や、「センシュアルピュアリティー」なるデザインテーマを標榜(ひょうぼう)するメルセデスのワゴンにそんな面影は見られない。まことスポーティーでクールでエレガント、すてきな日常生活と豊かな休日のためのクルマである。初代(W202型)以来、どうしてもCクラスはセダンが多数派というイメージがあったものの、近ごろでは販売比率が7:3と、ステーションワゴンが意外に健闘している。SUV全盛の時代にあっても、セダンと変わらない走行性能と多用途性をともに求める人は、私同様少なくないということだろう。...