静かな幕開け
マラネッロの新たな基幹モデルは、まさかのプラグインハイブリッド! 2.9リッターV6ターボエンジンと駆動用モーターをミドシップ搭載した「フェラーリ296GTB」にスペインで試乗。電動化時代の“跳ね馬”が見せた、新たな魅力を報告する。
往年の名車を思い出させる
“296GTB”という字面からは、昔のビッグネームを思い出す。2.9リッターの6気筒を意味する数字は「ディーノ206/246」と容易に関連づけられるし、GTBといえば1970年以降のベルリネッタによく使われ、特にディーノの後継モデルとされた「308GTB」の姿が目に浮かぶ。いずれも美しい跳ね馬たち。新型車はマラネッロ久々のシンプルビューティーなミドシップで、ディーノや308GTBに見劣りしないばかりか、かの「250LM」をもほうふつとさせる。
最近とみにリバイバルネーム好きなマラネッロが、この全く新しいV6ミドシップモデルを“ディーノ”と呼ばなかった理由、「そう呼べばもっと人気が出たかもしれない」なんて外野の声に耳をふさいだ理由を、スペインで開催された国際ローンチ試乗会でいち早く乗って、あらためて思い知った。
もちろんディーノは名車である。クラシックカー界のアイドル的名馬だ。ピニンファリーナの代表的傑作でもあり、今なお絶大な人気を誇る。けれども、誤解を恐れずに言って、そのデビュー時の役割は12気筒しかなかった時代のフェラーリにとっての“普及版”だった。ありていに言って美しき廉価モデルであり、跳ね馬の「乗って楽しい入門モデル」だった。だからこそたくさんの個体が今へと残されたのだと思う。そして、そのコンセプトを引き継ぎ、V8を積んでデビューした308シリーズは、12気筒メインのフェラーリラインナップにおいて、やはり“ピッコロ”と呼ばれたいわばマラネッロの登竜門、入門モデルというわけだった。...