オジサンにもオススメしたい
今や貴重な軽セダン「スズキ・アルト」が9代目にフルモデルチェンジ。従来型よりちょっぴり広く、豪華なモデルとなった新型は、ベーシックカーとしての着実な進化を感じさせつつ、同時に「男もすなる軽自動車」としての資質も備える、希少なクルマとなっていた。
先代の面影を残すスタイリング
新型アルトといえば、今回の取材にせんだって千葉県は幕張周辺でおこなわれたメディア試乗会での出来事を思い出す。小一時間の試乗の間に、いずれも60〜70代と思われる3人のオジサンから立て続けに「これって新しいアルトですか?」と声をかけられたのだ。仕事がら、発売直後の新型車に乗る機会は多いが、最近は声をかけられることもめっきり減った。そんなところにクルマばなれの風潮を感じなくもないのだが、いずれにしても、約1時間で3人とは最近では異例だった。
ただ、その3人がいずれも高齢男性だったのが、なんともはや……である。彼らが新型アルトに“アガリの一台”として心に刺さるなにかを感じていたとしたら、その気持ちはどっぷり50代の初老オジサンである筆者にも分からないではない。
筆者も頻繁に遠出する必要もなくなり、普段は基本的にひとり乗りで、同乗者がいてもせいぜいひとり……という生活になったら、軽自動車(以下、軽)のハッチバック(業界ではセダンと呼ばれる)が最適のアシとなるだろう。ただ、実際にそうなっても、クルマへの一家言を持ち続けたいオジサンにとって、1970〜80年代の欧州ベーシックカー的な骨太デザインの先代アルトは「これなら俺も乗れる!」と思わせてくれる貴重な一台だった。
筆者も先代アルトの秀逸なデザインに心奪われたクルマオタクオジサンのひとりであり、新型の姿を画像で初めて見たときには「ずいぶん普通になっちゃったなあ」と、さみしく思ったのも事実である。ただ、すでにご承知の向きもあるように、実際の新型アルトは特徴的なツリ目フェイスを筆頭に、写真以上に先代に通じる“アルト感”が濃い。オジサンに「これなら乗ってもいいかな」と思わせるギリギリのデザイン性も保たれている。冒頭の3人のオジサンも初めて見る新型アルトに安堵して、思わず声をかけてくれたのかもしれない。...