風林と火山
日本に初導入された「ベントレー・ベンテイガ」のハイブリッドモデルに試乗。環境性能とパフォーマンス、そしてラグジュアリーモデルとしての快適性に磨きをかけたとうたわれる“電動化ベントレー”の走りを確かめた。
感動的な発進フィール
ベントレーの「ベンテイガ ハイブリッド」が発表された時に、ほほぉーと思ったのは、2269万円という価格だった(現在は2280万円)。これは4リッターのV8ツインターボエンジンを積む「ベンテイガV8」と、まったく同じなのだ。ちなみに、6リッターのW12ツインターボエンジン搭載の「ベンテイガ スピード」は現在3356万円だから価格的にややレベチ。ハイブリッドにするか、V8を選ぶかで悩む人が多いだろうと想像する。
以前に試乗したベンテイガV8の滋味深いエンジンと、懐の深い乗り心地に大いなる感銘を受けたので、同価格のベンテイガ ハイブリッドがどんなSUVに仕上がっているか、試乗するのは楽しみだ。
起動する前にハイブリッドシステムの成り立ちをおさらいしておくと、外部電源からの充電が可能なプラグインハイブリッドで、リチウムイオン電池に蓄えた電気でモーターを駆動する。3リッターのV6ツインターボエンジン(最高出力340PS)とモーター(同128PS)の組み合わせで、4輪を駆動する。システム全体の最高出力は449PS、最大トルクは700N・mとなる。
ベンテイガV8の最高出力が550PS、最大トルクが770N・mだったことを思うと、動力性能はハイブリッドが半歩ほど劣るのか──、という想像は、発進時にアクセルペダルをひと踏みした瞬間に的外れだったと思い知らされる。
音もなく、振動も感じさせないまま、小山のような巨体がなんの抵抗も感じさせずにスーッと発進するのは、ちょっと感動的だ。頭に浮かんだのは、「風林火山」という言葉だ。疾(はや)きこと風のごとし、静かなること林のごとし。...