サーキットに本領あり
マクラーレンのハードコアモデルを示す「LT」=ロングテールの名を冠した「765LTスパイダー」。“出力向上+軽量化+空力リファイン”という、レーシングマシンと同じ手法で高性能化が図られたオープンスポーツの走りやいかに。
高度な空力設計がうかがえる
「マクラーレンF1」をベースとしたレーシングモデル「GTR」の空力特性を改善するため、車体前後端を延長したロングテール仕様が登場したのは1997年のこと。その年のルマンでの総合2位という戦績を最後に、封印されていた名称が「LT」として市販車にあてがわれたのは2015年のことだ。
そのモデル「675LT」は、「650S」をベースにサーキット走行を強く意識したキャラクターが与えられていた。そこに用いられたのは軽量化・高出力化・シャシー強化と至って正道的で、ロングテールの名から想像するほど伸ばされた感のないテールまわりも含めて、空力特性の最適化も大きなテーマのひとつだった。
その後、「570S」をベースとした「600LT」も同様の手法でつくられるなど、LTシリーズは各商品群の世代を締めくくる位置づけも担わされたようにうかがえる。であれば、この765LTは「720S」世代の終焉(しゅうえん)を意味するモデルとなるのだろうか。と、そんな邪推はさておき、765LTの詳細を追ってみよう。
試乗に用意されたモデルは765LTスパイダー、つまりオープン仕様となる。先に発売された「クーペ」は765台の限定数をすでに売り切っているが、スパイダーも同様に765台の限定となり、左サイドシルのシリアルプレートには通し番号が振られる。ちなみにこの個体はマクラーレン本体のデモカーゆえ番号は000、つまり限定数にはカウントされていない。
765LTはロングテールの名を持つも、実は延伸量はスプリッターなどがリデザインされたノーズの側が大きく、テール側はアクティブリアウイングが9mm延びているのみだ。それでもダウンフォース量は720Sと比べて25%も向上しているというから、サイドスカートやリアスプリッターなどの付加物や後端のメッシュパネルなど、空気を整え抜く側のマネジメントが、いかに車体安定に寄与しているかが伝わってくる。330km/hの最高速をうたうサーキット走行前提車両としては外観の印象がすっきりしているあたりからも、その空力設計の高度さがうかがえるだろう。...