“最善か無か”を継ぐもの
数多い新型「メルセデス・ベンツCクラス」のラインナップのなかで、先陣を切って上陸した「C200アバンギャルド」に試乗。1.5リッター直4ターボ+マイルドハイブリッドのパワートレインと、後輪操舵システムを採用したシャシーが織りなす走りを確かめた。
取り回しに優れる伝統は健在
前身にあたる「メルセデス・ベンツ190E」が登場したのは1982年のこと。メルセデス初のDセグメントモデルであり、日本では“小ベンツ”などとあまりうれしくはないだろうあだ名で呼ばれていたが、それでも高く評価されていたのは小さくても中身は本物のメルセデスだったからだ。ブランドの根幹ともいえる安全思想や質実剛健なつくり、高級車らしい装備などは格上のクラスと遜色なく、メルセデスには大きさやクラスによるヒエラルキーがないのだと印象づけたのである。
7年ぶりのフルモデルチェンジで5代目となった新型Cクラスにも、それは当てはまる。見た目はまんま「Sクラス」をスケールダウンしたかのような、最新のメルセデスデザインをまとっている。全長は従来型比で65mm伸長され、Aピラーおよびフロントウィンドウは後方へと移動した。それでいてフロントオーバーハングは短くなっているので、ボンネットの長さが強調されたダイナミックなプロポーションとなった。
ラインやエッジといった装飾的な要素は極力排して、フォルムそのものの美しさや彫刻的な面構成を際立たせる手法だ。ショルダー部の控えめなキャットウオークラインで車高を低く見せることや、上下に薄くクールな印象のヘッドライトの採用、横に長い三角形のリアコンビネーションランプのデザインなどはSクラスと共通するイメージである。
従来はライバルに対して後席がやや狭かったが、25mmのロングホイールベース化によって後席レッグルームは21mm広げられ、ヘッドルームにも余裕が増した。
それなりに大型化されたわけだが、全幅は10mmの拡幅にすぎず、また最小回転半径は従来の5.3mに対して小さくなっている。このクラスでは初となるリアアクスルステアリングの装着車ならなんと5.0m、非装着車でも5.2mだ。Cクラスの伝統的な美点である“取り回しのよさ”は失われていないのである。...