カローラの真骨頂
「カローラ クロス」は50年以上の歴史を誇る「トヨタ・カローラ」シリーズで初めてのSUVだ。国民車として長く親しまれてきたカローラにSUVのユーティリティー性能が加われば「言うことなし!」のはずだが、果たしてその仕上がりは?
巧妙な装備設定
カローラ クロスは2020年夏の世界初公開の場がタイだったこともあって、デビュー当初は新興国向けの戦略商品と思われた。実際、筆者も当時のいくつかの記事にそう書いた。
だが、今回の取材でカローラシリーズの上田泰史チーフエンジニアにうかがったところ、クロスの日本導入は当初から予定されていたそうだ。日本に続いて、この2022年モデルからは北米でも販売開始となり、2022年中には欧州市場にも投入されることが明らかになった。これは完全なグローバル商品である。
ただ、カローラのセダンやステーションワゴン、ハッチバックと比較すると、カローラ クロスにはそこかしこに、コストダウンのためと思われる独自の工夫が見られるのも事実だ。とくに目立つのはインテリアの仕立てで、従来のカローラだと本ステッチがあしらわれた厚めのソフトパッドに覆われるダッシュボードが、クロスではハード樹脂となっている。デザイン上のアクセントとしてステッチ加飾は残されているものの、クロスはそれ風の樹脂成形となっている。センターコンソールも他のカローラはステッチやソフトパッドによる凝った仕上げなのに対して、クロスはよくも悪くもシンプルだ。
いっぽうで、センターコンソールとドアのグラブハンドルにシルバー加飾を施して、SUV化にともなって高くなったダッシュボードを4本のシルバーの柱で支えるイメージのデザインはクロス独自である。加えて、先進運転支援システムやインフォテインメント装備はほかのカローラと同等で、主要グレードには後席用エアコンアウトレットも備わるし、電動パーキングブレーキも省かれない。寒冷地仕様を選べば全車にステアリングヒーターが装備されるなど、カタログで確認できる装備内容に見劣り感はまるでない。実車をならべて見比べないかぎり、コストダウン感をいだかせない商品づくりは巧妙というほかない。...