さよならするのはつらいけど
フランス人もビックリするほど、日本で愛されているフランス車「ルノー・カングー」。商用バンを出自とする丸くてシカクいこのクルマの、どこに私たちは心ひかれるのだろう? 現行型の最後の限定モデルをロングツーリングに連れ出し、その魅力について考えてみた。
“乗り物”という枠を超えた存在
来る2022年、カングーは日本における正規輸入販売開始から20年の節目を迎える。その上陸総数は約3万台におよび、2009年秋に発売された現行の2代目が、そのうちの2万台余を占める。モデル末期のここ数年でも年間2000台以上が確実に売れるという、驚きの存在感を示してきた。
単に売れているというだけの話ではない。コロナ禍により今年(2021年)も11月23日にオンライン開催される運びとなったファンイベント「カングージャンボリー」だが、最後のリアル開催となった2019年には、参加車両が1700台余に達したという。実際は「メガーヌ」や「キャプチャー」も参加できるルノー縛りの催しではあるものの、日本最大級の自動車ミーティングの大半を占めるのがそれとあらば、カングーはもはや乗り物に収まらず、文化的な媒体と言っても過言ではなさそうだ。
そんなカングーも、本国では既に3代目が発表されている。順当にいけば来年には、既述の通り正規輸入開始から20周年を迎える日本にも導入されることだろう。他のルノー銘柄に準じたエクステリアデザインやさらなる大型化が、日本でどのように評価されるかはわからない。
が、個人的には「ご立派になりすぎちゃって、いい意味での隙のようなものがなくなっちゃったなぁ」と感じている。商用出自ゆえの至らなさをおのおのの工夫で補ったりセンスで装ったりしながら乗る。そんな楽しさを施す余地が、写真で見る限り、新型にはあんまり見いだせない。
まぁ、いちクルマ好きのいちゃもんはこの辺にしておいて、今回のお題は日本の輸入車史に間違いなく名を残すであろう、2代目カングーのラストモデルだ。ディーゼル+6段MTという好事家が小躍りしそうな組み合わせで登場したそれは、限定の400台が瞬殺。中古車市場ではプレミアムが乗っかった400万円超の値札を下げた物件まで見かけるなど、最後らしい盛り上がりを見せている。...