みんなで楽しむクラシック
日本でも大人気の2代目「フィアット500」をベースに、パワートレインを電動化した「フィアット500ev」。電気で走る“往年の名車”は、私たちにどんな景色を見せてくれるのだろうか? モダンなのにクラシックなその走りと、唯一無二の魅力をリポートする。
世界的名車をフルレストアしてEV化
2代目フィアット500を電気自動車(EV)化した500evについては、これまでもその誕生の経緯からプロトタイプ試乗まで、複数回リポートしている。
2代目500(イタリア語で読むとチンクエチェント)といえば、名作アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』の絶大なる影響もあって、おそらく日本でもっとも有名なヒストリックカーの1台だ。2代目500は、正式には「NUOVA(ヌオーヴァ)500」という車名でデビュー。イタリア語で“new”を意味するヌオーヴァをわざわざ名乗ったのは、第2次大戦前後に生産されていた初代500(愛称トポリーノ)と区別するためだった。
2代目=ヌオーヴァ500が生産されたのは1957年から1975年(ステーションワゴン版は1977年まで生産)で、イタリアのみならず西ヨーロッパ全体の戦後の経済成長期を支えた。総生産台数はじつに367万8000台にのぼる。
500evを手がけるのは愛知県にある私設ミュージアム「チンクエチェント博物館」だ。同館は以前から、厳選したイタリアの自動車工房=カロッツェリアが仕上げたヌオーヴァ500のリフレッシュ車両を、「500クラシケ」の商品名で輸入・販売してきた。500evはそんな500クラシケのEV版である。
「貴重なヒストリックカーをEV化するなんて!」と引っかかるオリジナル至上主義のエンスージアストもおられるかもしれない。ただ、これまで500クラシケという正統派のヒストリックカーを手がけてきた同館の伊藤精朗代表は、「できるだけ多くの人に所有して、元気に走らせてもらうことで、チンクエチェントという文化遺産を“現役のクルマ”として保護・保存していきたい」という慈愛に満ちたお考えの持ち主である。そんな伊藤氏が今度は500evをプロデュースしたのも「EVという新しい技術と価値で、さらなる未来に継承できる」と考えたからだ。...