隣のクルマが小さく見えます
「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」は、全長5mを超えるボディーに4座のみを備えたぜいたく極まりないSUVである。ベース車から3座を取り払い、ありとあらゆる手当を施すことで実現した、マイバッハならではのラグジュアリーとはどんな世界なのだろうか。
スネにご用心
メルセデス・ベンツ日本の地下駐車場で初めて見て、言葉をのんだ。ラグジュアリーを圧倒的なサイズとクロームの量で表現している。クロームの質、表面のなめらかさと光沢に、戦前の「グロッサー・メルセデス」もかくやであったにちがいない、と思う。タイヤ&ホイールは、なんと23インチ! 威風堂々、映画『ベン・ハー』に出てくるローマの戦車みたいだ。タイヤはフロントが285/40、リアが325/35。こんなにペッタンコでワイドなタイヤを履くSUVがあらわれるとは!
ドアを開けると、フロアからランニングボード、いわゆるステップが音もなくスーッと出てくる。ごとん、とか無粋な音をいちごんも発しない。長さ2mちょっとあるリッパな、大人が上に乗ってもミシリともいわぬアルミ製の頑丈なボードが、無音で、しかも瞬時に電動で出てくるのだ。
あまり近くに立っていると、スネをぶつけるのでご注意ください。
とメルセデスのひとにいわれていたのに、後ほど、すっかり忘れてしまい、後席に乗ろうとした際、何度もスネに当ててしまった。ショーファードリブンの証しというべきか、このボードは後席の住人向けに幅が広くなっていることもある。何かに接触すると、そこで止まるので、スネに当たって痛い、ということはまったくない。
乗降性を高めるために標準装備のエアサスペンションが25mm、最低地上高を低めてもいるはずだけれど、あまりに動きがスムーズなので、筆者はそれと気づかず、山のように大きなクルマなのに案外乗り降りしやすいと感心するのみだった。
ドアを開ければ、純白のレザーで覆われた世界が広がる。シートだけでなく、ドアの内張りも真っ白で、着座すると雪景色、ホワイトアウト状態。遠近感がなくなり、ボディーの右端がどこまでも広がっているように感じる。...