“短いほう”の潔い自由
ジープ自慢のクロスカントリーモデル「ラングラー」に、限定車「ルビコン ソフトトップ」が登場。伝統の2ドア仕様で、悪路特化の「ルビコン」で、しかもホロ屋根という好事家の心をくすぐる一台は、爽快なまでに“潔さ”を感じさせるクルマに仕上がっていた。
コアなファンのための限定販売モデル
webCG編集部から告げられたお題は「ラングラーの短いほう」。そう聞いて反射的に浮かんだ単語が「潔い」。同時に、対義語にはどんな言葉があたるのかが気になった。
この「ラングラーの短いほう」とは、厳密に言えば、この夏に100台限定で発売されたジープ・ラングラー ルビコン ソフトトップのことだ。“短いほう”というなら対となる“長いほう”も存在するわけで、第2次大戦中の軍用車を祖に持つジープのラングラーには、「アンリミテッド」という4枚ドアのロングホイールベース版も用意されている、のだが……。
短いほうを指す2ドアのショートホイールベース版は、約10年ぶりのモデルチェンジを経て4代目が発売された2018年時点から、(本質的な部分でジープの正統継承をうたえるのはこちらであるにもかかわらず)日本では受注生産扱いになった。耳にしたその理由は、「売れるのは圧倒的に長いほうだから」というものだった。
事情は理解できる。ラングラーを求める人々の志向は、タフな4WD機能を存分に生かしたオフロード走行はしなくとも、いざとなれば荒野の果てまで走っていけそうなワイルドさに根差している。そんな今どき稀有(けう)なリアル・クロカンを家族全員で楽しもうとするなら、4枚ドアが最適というほかにない。そしてまたアンリミテッドに人気が集中したのは、思いのほかボンネットの長いラングラーの基本デザインとロングボディーの相性がよかった点も大きいのだろう。
そんなこんなで、主要諸元では「4人乗り」と記載されつつも、後席を生かせば荷物を載せるスペースがほぼ消失する実質2シーターの短いラングラーは、いつしかマニア向けのモデルとなった。しかしジープは、短いほうの根強いファンを忘れることなく、受注生産で販売を継続。しかも、限定とはいえルビコン仕様のショートホイールベース版をリリースした。それはブランドとして美しい計らいだと思う。...