幸せな悩み
群雄割拠のコンパクトSUVのなかから、まったくキャラクターの異なる「ホンダ・ヴェゼル」と「マツダMX-30」に試乗。これほどまでに個性の違うモデルがそろうコンパクトSUV市場は、いま最もクルマ選びが悩ましく、また面白いといえるだろう。
街なかではほとんどEV
(前編からの続き) 市街地で走らせるハイブリッドのホンダ・ヴェゼルは、ほとんどEV(電気自動車)と言ってもいいぐらい、モーターの駆動力だけで走行する。最高出力は131PS、最大トルクは253N・mというアウトプットに加え、電流が流れた瞬間に最大の力を発揮できるモーターの特性から、発進加速に不満は感じない。むしろ、ふんわりと滑らかに加速するフィーリングが心地よい。
ここで2つのモーターを用いる「e:HEV」の仕組みを簡単に説明しておきたい。2つのモーターは充電用と駆動用。EVモードでは、バッテリーに蓄えた電気で駆動用モーターを使って走る。この状態では、発電用モーターはお休み。
ハイブリッドモードでは、エンジンが発電用モーターを稼働して発電する。この状態でのエンジンは原動機というより発電機であり、ここで得た電気とバッテリーに蓄えた電気を使って、走行用モーターを駆動する。このモードでは、2つのモーターがそろって活躍する。
高速巡航時には、この領域を得意とするエンジンで走るエンジンモードに切り替わる。ここでは2つのモーターはともにお休みだ。
このような具合に、ヴェゼルのハイブリッドは基本的にはモーターで走り、高速域だけエンジンが主役になるというシステムで、だから市街地ではほぼEVだ。市街地でもアクセルを深く踏み込む急加速時にはエンジンも稼働するけれど、その切り替わりはシームレスで、意地悪な目で観察しない限り、ほとんど気づくことはない。...