正解はひとつにあらず
「ポルシェ911タルガ」のルーフを開け放っても、頭上部分の青空を拝めるだけにすぎない。フルオープン化できる「カブリオレ」があるなかで、あえてタルガトップを選ぶ理由とは何だろうか。それはずばり、カッコよく生きるためである。
安全なオープンカー
クルマの安全にまつわる思想や性能がまだ脆弱(ぜいじゃく)だった1960年代、オープンカーの悲惨な事故があとを絶たなかったアメリカでは、それを禁止しようという世論さえ形成されつつあった。
そんななかで、アメリカ市場をお得意さまとしていたポルシェが安全なオープンカーとはどうあるべきかを形にしたのが911タルガだ。その狙いは一目瞭然で、ロールオーバー時の生存空間を確保するために太いBピラーを据えながら、ルーフとリアウィンドウを折り畳んで格納することでオープンカー並みの開放感を得ようというものだった。
その後、ビニール製のリアウィンドウは走行時のバタつきを抑える狙いもあってベンドガラス製に変更。開放感は損なわれるものの、スペシャリティーモデルらしいそのたたずまいに新しさを見いだしたカスタマーに支えられ、タルガのイメージを世に浸透させた。...