アメリカの良心
キャデラックの新型セダン「CT5」のラインナップから、上質さが身上の「プラチナム」に試乗。FRの駆動レイアウトに穏当なシャシーチューニングを組み合わせた同車は、欧州のプレミアムカーもかくやという、自然で理知的なダイナミクス性能の持ち主だった。
プライスタグに見る挑戦者の心意気
webCGでも何度か試乗記をお送りしているキャデラックCT5は、ジャーマンスリーでいうところの「メルセデス・ベンツEクラス」「BMW 5シリーズ」「アウディA6」に相当するEセグメントセダンである。このクラスはもはや世界的にジャーマンスリーの寡占市場に近いのはご承知のとおりで、このCT5もそこに割り込まんとするニッチな挑戦者の一台である。
そんなCT5の立場を象徴するのが価格だ。この2021年3月からデリバリー開始となった日本仕様のCT5は、2リッター4気筒ターボを搭載する2種類のグレードが用意されており、今回の試乗車でもあるラグジュアリー志向の「プラチナム」が560万円、スポーツ志向の「スポーツ」が620万円である。両グレードとも装備は最初からフルトッピング状態で、電動本革シート、先進運転支援システム、BOSEのサラウンドサウンドシステム、ナビ、LEDヘッドライト、ワイヤレス充電を含めたスマホ接続機能……はすべて標準だ。
同等エンジンを積むジャーマンスリー車は本体価格で700〜800万円、さらに装備内容をCT5のそれとそろえようとすれば、合計価格が1000万円近くなるケースも少なくない。そう考えると、CT5は明らかに安い。さすが挑戦者である。
ちなみに、トランクリッドに「350T」という文字があるのは、搭載される2リッターターボエンジンの最大トルクが350N・m(≒自然吸気でいうと排気量3.5リッター相当)であることから来ている。エンジンが1種類の日本だけだとこれがある意味が分かりづらいが、米本国には日本未導入の3リッターV6ツインターボ搭載車(最大トルク550N・mの「550T」)もも存在しており、そのための識別エンブレムという役割をもつ。...