不良の気分で楽しみたい
シンプルで伸びやかな“チョッパースタイル”を特徴とする、ハーレーのクルーザー「ストリートボブ」。従来型を上回る1868ccの特大エンジンが搭載された、最新2021年モデルの走りやいかに?
「ハーレーに乗ってる感」に満たされる
ハーレーに試乗するたび感じ入るのは、「オレ今、ハーレーに乗ってる」という“圧倒的な納得”だ。「そんなの当然だろう」とツッこまれるのを承知したうえでの発言なので、別の言い方をしてみる。
不思議なことにハーレーにまたがると、モーターサイクルに乗っている感覚が湧いてこない。その感覚は、かつて「スポーツスター」と呼ばれ、今は「ストリート」と称するラインナップの、最大1202tエンジンを搭載する半ば前のめりのモデルよりも、全長が長くシートが低く、おおむね反り返った姿勢で正面からの風を真っ向から受けることをむしろ望んでいる大型モデル群でより高まるのだが、本質として重要なのはこういうことだ。
この世にあまたある工業製品の中で、ハーレーほど固有の世界観を有しているものは稀(まれ)ゆえ、他の何者でもない「ハーレーに乗ってる感」に包まれてしまうということ……。
まだ伝わらないか? よりかみ砕けば、やっぱり革ジャンを着たくなるとか、ヘルメットはジェットタイプが気分だろうとか、そうしたファッション的な側面だけでなく、信号待ちで止まったら自然とガニマタになってしまうとか、走りだしても慌てて先頭に出るよりはドロドロと湧いてくるトルクに任せて気がつけばすべてを後方に追いやるような余裕ある走り方がふさわしいとか……。
要するに、ハーレーが無言で提示してくる(あるいは固定観念がひねり出した縛りと同義に思えるような)世界観にあらがえなくなることで、モーターサイクルではなくハーレーに乗っているという、独特で特別な感情に支配されるのだ。
え〜と、ご託を並べているようにしか聞こえないだろうという自覚はあります。ただ、書き手として単純に「ハーレー、すごい」で済ませたくなくて、こんなに文字を費やしてしまいました。そしてこれが前半戦の結論ですが、2021年モデルのストリートボブもハーレーのすごさに満ちておりました。試乗とはいえ革ジャンを用意しなかったことを悔やむほどに、それは満々と、煌々(こうこう)と、淡々と。...