痛快にして爽快
BMWのハイパフォーマンスクーペ「M4」がフルモデルチェンジ。まずはド派手な面構えで注目を集めたが、肝心の走りの進化はどうなのか。あいにくのウエットコンディションながら、箱根のワインディングロードで仕上がりを試してみた。
これじゃ物足りない
駐車場のシャッターが巻き上げられると、なるほど、「ギョッ」とするような大きなキドニーグリルが姿を現した。「BMW M4クーペ コンペティション」がパレットに載っている。
戦前のBMW、例えば伝説の「328ロードスター」がごく縦長のグリルを並べていても違和感がなかったのは、エンジンルームの天地が広くて、左右のヘッドランプセクションやフェンダーがハッキリと独立していたからだ。確かに新しいM4はボンネットにグリルからつながる隆起を設けて、グリルを視覚的に左右と切り離そうと試みてはいるものの、21世紀にこのモチーフを復活させるのなら、まだまだ足りない。もっと大胆に!
とはいえ、機能に立脚しないで表層的にフェンダーの範囲を広げてみても、それでは単なるレトロデザインに堕してしまう……。てな具合に素人なりのデザイン論をブチたくなる時点で、クルマ界のトレンドセッターたるBMWの術中にハマっているのかもしれない。個人的には、顔の真ん中に付けられたニッポンサイズのナンバーが周囲から浮いているように見えて仕方ない。法に触れない範囲で、左右どちらかに寄せられないものでしょうか?
賛否両論、話題沸騰のフロントフェイスとは対照的に、新しいM4全体のフォルム、ことに斜め後ろから見た姿にケチをつける人は少ないだろう。ルーフラインがなだらかに下降するさまは絵に描いたようなスポーツクーペだし、テールエンド付近でノッチが付いているのがまたニクい。荷室容量を稼げる実用上のメリットに加え、どこかフォーマルな雰囲気が漂うのがいい。高級感の演出がお上手ですね。
流麗なデザインのため犠牲にされがちなリアシートは、座面こそやや低いが、膝前、頭上ともほどほどの空間が確保され、余裕はないが大人用としても使える。実用を意識していることは、前席背もたれ肩のレバーを引くと自動でシートが前進して、後席に乗り込むスペースをつくってくれる機能からもうかがえる。定員は4人だ。...