優等生もいいけれど
空冷単気筒エンジンのシンプルなネイキッドモデル「ホンダGB350」。優等生的な出来栄えとリーズナブルな価格を実現したニューモデルに、リポーターが感じたモヤモヤとは? 趣味の乗り物だからこそバイクに求められる+αの魅力について考えた。
“趣味的単気筒”とは別物
総論から述べますが、車体からエンジンに至るまで、すべてを新設計したというGB350は、学校の先生や同級生はもちろん、近所にお住まいの顔なじみを含め、誰からも優等生と認められるような製品でした。いやまったく、よくできている。
パワーユニットは空冷4ストローク単気筒の348ccで、最高出力は20PS。エンジンの種類や排気量に鑑みれば、これ以上を望むほうがヤボってもんの至極まっとうな力量だ。開発にあたっては、単気筒らしい鼓動感を引き立たせたうえで、雑味と捉えられる不快な振動の除去に腐心したらしい。その二律背反的な課題の解決に向け、「振動を抑制するためのバランサーを、クランクシャフト前方に加え、メインシャフトにも装備」したメインシャフト同軸バランサーなるシステムを用意したそうな。カタログには「特許出願中」と記されているので、ホンダはまさしくこの製品のために新機軸を用意したのだろう。なんとまあ生真面目なこと。
とはいえ、うたい文句の通りに鼓動感が引き立っているかと問われれば、個人的には雑味を取り過ぎた感が強く、ただアイドリング時から存在を示すマフラーの「パッパッ」という乾いたサウンドによって、それとなく単気筒らしさを覚える程度と答えておく。走りだせばマフラーの音は聞こえなくなるし、なにより“不快”と背中合わせにかつてのシングルが発していたパンチ力は、ほとんど伝わってこない。まあ、これが「鼓動」ではなく「鼓動“感”」と表するあんばいなのかもしれないが。
それよりもスムーズさが勝っているのだ。市街地走行で扱いやすくなるよう、ピークトルクの発生回転域は3000rpm付近に設定したというし、徹底的な最適化を図ったとされるライディングポジションとも相まって、GB350はいわゆる“趣味的単気筒”とは別物と評していいバイクとなっている。もちろん、資料のどこを探しても「趣味」を「雑味」とは書いていないが。
以上はさておき、自分の試乗メモには汚い字で「これ“が”と、これ“で”では、全然違う」と記されていて、試乗記を書いている今、私はとても困っているのである。...