情熱に跨って
日本でも大人気のベスパから、ハイパフォーマンスで鳴らすドゥカティまで、幅広いブランドを擁するイタリア。情熱の国のラインナップから、今回は「ドゥカティ・パニガーレV2/スクランブラー」「ベスパGTS」の3台をチョイス。刺激的な走りを堪能した。
ファナティックなファンにささぐ ドゥカティ・パニガーレV2
「Lツインって、こんなにワイルドだったっけ!?」とあらためて驚かされるのが、ドゥカティ・パニガーレV2に搭載される955cc水冷V型2気筒エンジン。「スーパークアドロ」ユニットとして知られるそれは、鋭く激しいビートと、急激なパワーの盛り上がりで、シートにまたがる“にわかライダー”をおびえさせる。
パニガーレV2は、「959パニガーレ」の跡を襲ったドゥカティのミドル級スーパーバイク。「Rファイナルエディション」をリリースして表舞台を去った「1299パニガーレ」の弟分で、1299の2気筒が116mmという異例に大きなボアを持つのと比較して、959改めV2のそれは100mmに“抑えられる”。60.8mmのストロークは両者共通だ。
ドゥカティスポーツモデルのトップとして、V型4気筒を積む「パニガーレV4」が定着したいまも、スポーツツアラー的な「スーパースポーツ950」とV4の間を埋めるマシンとしてラインナップされる。2021年モデルでは、顔つき、フェアリングがV4モデルに寄せられ、アルミ製スイングアームが両持ちから片持ち式に変更され、レーシーなルックスに磨きがかかった。サスペンションは、もちろん前後ともフルアジャスタブルだ。
シート高は840mm。薄いクッションに身長165cm、足短めのライダーが座ると、両足のつま先が辛うじて地面につく感じ。バックステップ気味に足を後ろに置いて走り始めると、自然に前傾が強くなって、ごくスポーティーなポジションに。
欧州の排ガス規制「EURO5」をパスした90°V2は、先代よりさらに5PSと0.1kgf・m大きな155PS/1万0750rpmの最高出力と10.6kgf・m/9000rpmの最大トルクを発生する。独特のサウンドとともに200kgのボディーを蹴とばすかのように運んでいく。大磯プリンスホテルの駐車場に設けられた広い特設コースでも、回転が上がって音の粒がそろうはるか手前でシフトアップしなければ、2速から先へ進めない。その結果、Lツインの野趣あふれる側面ばかりが印象に残った次第。
堅牢(けんろう)なモノコックフレーム、締められた足まわり、シャープなレスポンス。限られた条件のなかでも、全身で「スポーツ」を主張するパニガーレV2。エンジン特性を変更可能なライディングモード、ABS、トラクションコントロールなど、充実した電子装備も魅力だ。「やっぱりLツインじゃなきゃ!」というファナティックなファンのために、長らく健在でいてほしい。価格は、959時代より20万円弱上昇した225万円。
(文=青木禎之/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)...