風はこれから強く吹く
メルセデスが新機軸を惜しみなく投入したフラッグシップセダン「S500 4MATICロング」に試乗。48Vマイルドハイブリッドや四駆と後輪操舵の組み合わせ、先進のインフォテインメントシステム、そしてリアルタイム映像を用いた「ARナビ」など、自慢の“最新”を味わった。
すぐになじむか戸惑うか?
何はさておきシートポジションを合わせようとドアトリムに備わるシート型スイッチに手を伸ばすと、あれ、動かない。物理スイッチではなく、タッチタイプに変わっていたのである。だから壊れていると決めつけて力任せに動かそうとしてはいけない。例によってとか、いつもの通りなどと言えなくなったのが現在のメルセデス・ベンツだ。
いつの頃からか、メルセデスは躊躇(ちゅうちょ)なく、しかもかなり頻繁にコントロール類のロジックや配置を変更するようになった。よく言われるのは、かつてはセンターコンソール中央の一等地から動かないはずだったハザードスイッチが、モデルによってあちこちに移動しているというものだが、新型「Sクラス」はそんなレベルではない。その程度で不満を漏らすようなオジサンたちに、この最新型のインターフェイスを使いこなすことができるか、いやそもそもその気になるかどうかすら怪しい気がする。
さすがにSクラスの場合はこの新型でもハザードスイッチはコンソールの真ん中、巨大な12.8インチの有機ELディスプレイ下にわずかに残された物理スイッチ列の中央にあるが、その隣にはスマホのホームボタンのようなタッチスイッチがある。指紋認証によるログイン用センサーだ。ほかにも顔や声、あるいはPINコードでも進化版の「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」にログイン可能で、さらに運転席以外でも行えるという。
今やクルマにログインする時代なのである。MBUXにドライビングポジションやメーター表示、スマホなどの個人プロファイルを登録しておけば、次からは何もする必要がないというわけだ。「ワシは最後までガラケーだ」などとかたくなだと、そろそろ新型車には乗れなくなるかもしれない。もちろん、そんな最新デバイスを無視しても走りだすことはできるが、最先端技術の恩恵にはあずかれない。...