どこまでもシャシーが速い
ポルシェのラージサイズSUV「カイエン」に、“走りが身上”の上級グレード「GTS」が登場。専用の4リッターV8ターボエンジンとシャシーチューンの組み合わせは、いかな走りを見せるのか? 他のグレードにはないGTSならではの魅力に迫った。
今日に見る「GTS」のポジション
ポルシェにおける「GT」とはもともと、厳格にモータースポーツ参戦を意識したモデルにのみ許された特別な名称だった。ちなみにGTSを初めて名乗ったポルシェは1964年の「904カレラGTS」だが、これもまた、当時のGTレース規定を意識したホモロゲーションモデルだった。
しかし、ポルシェのほぼ全機種(電気自動車の「タイカン」には未設定)に用意される現代のGTSは、ご承知のように、モータースポーツとの直接的な関連は意識されていない。「ターボ」に次ぐ走り重視系の上級バリエーションという位置づけである。
こうした今のGTSの元祖となったのが、カイエンだ。カイエンに初めてGTSが設定されたのは、初代がモデル末期にさしかかった2008年。パワートレインはターボのひとつ下となる自然吸気V8だったが、エンジンもシャシーも専用チューンとなっていた。とくにシャシーはわざわざ専用ワイドフェンダーを備えるなど、最上級のターボ以上に凝った内容だった。
これ以降、GTSは「パナメーラ」や「911」などへ拡大設定されていくものの、“モデルライフ途中で追加”“シャシーはほぼ最上級”“エンジンはターボに次ぐ(ターボグレードの用意がない「718ボクスター/718ケイマン」は例外)”という基本文法はきっちり守られてきた。こうして、GTSはいわば“熟成期に出てくる、アシのいいヤツ”的な、いかにも筋金入りマニア好みの、ちょっとヒネリのきいたモデルとして定番化したわけだ。同時に、市場で人気のオプション装備が標準化されるなど、じつはコスパが高いことも、GTSが人気の理由のひとつであるらしい。...