スーパーな実用派セダン
圧倒的な速さを誇るアルピナ各車だが、目指すところは「毎日使える実用性」であり、それは最新の「B3」にもきちんと継承されている。先代モデルからの進化点と変化点を、ワインディングロードで探ってみた。
ステアリングホイールが太い!
「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)2020-2021」で初参加にして新型B3が「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたせいか(ドイツでも同様の賞を受賞)、アルピナににわかに注目が集まっているようだ。といってもアルピナが拡大路線に転じたわけではなく、何度も言うが今も年間生産台数は最大で1700台程度。エンスーの多い日本は多い時でそのうち2割が上陸するというお得意さまである。
ここで、あれ? と思った人は事情通。日本COTYは年間500台以上という販売台数制限があったのだが、いつの間にか撤廃されたらしい。聞くところによると、販売台数を公表していないテスラが以前部門賞に選ばれたことでなし崩しになったのだという。ちなみにBMW MやメルセデスAMGは今では年間13万台規模である。アルピナはすぐ手に入らない、という不満もたまに耳にするが、まさしく桁が違う少量生産車であることを理解しなければならない。
それはさておき、新型は走りだすや、これまでに経験したことのあるB3、さらには他のBMWアルピナ各車とも異なる第一印象にいささか戸惑った。フルデジタルのメーターを含めたインストゥルメントパネルの仕立てはBMWの最新世代と同じ、ブルーとグリーンの差し色がアルピナであることを主張するものの、何よりもステアリングホイールのリムが太いことになじめない。BMWのMならばいざ知らず、とうとうアルピナもはやりの太いリムに宗旨替えしたのだろうか、と首をかしげながら走り続けると、乗り心地もはっきりと以前より硬派である。
路面の凸凹をガシッと踏みつぶして進むMモデルに対して、あんなに大きなホイールに極薄のタイヤを履いているにもかかわらず、あくまでしなやかでジェントルな乗り心地がアルピナ各車の最大の特長だった。それこそ従来は首都高速レベルの速度でも、わずかな上下動をシュッと抑える、たおやかで洗練された足さばきがMとの大きな違いだったはずなのだが、新型はタウンスピードではビシッとソリッドだ。もちろんゴツゴツとした直接的な入力や振動などは皆無だが、快適だと感じるスイートスポットがずっと高速度域に移動したようだ。...