じっくり待ちたい一台
「BMW X3 M40d」に続いて試乗したのは、アルピナの高性能SUV「XD3」。その走りは、スポーティーさを前面に押し出すX3 M40dとは一味違う、アルピナらしい上質感にあふれたものだった。
アルピナでもSUVの時代
玄人好みの端正で控えめな高性能セダンで知られるアルピナだが、最近はSUVにも力を入れており、つい先日には「BMW X7」をベースにした新型車「XB7」を発表している。アルピナ初のSUVモデルは先代F25型「X3」をベースにした「XD3ビターボ」というが、それは2013年の発売以来、世界中で1000台以上が販売されたヒット作になったという。その程度でヒット作? と首をかしげるかもしれないが、多少の上下はあるもののアルピナの年間生産台数は現在も1600台程度だ。ニューモデルを投入する場合には既存モデルの生産を抑えなければならないアルピナにすれば、これはかなりの数なのである。ちなみにこだわりエンスーが多い日本市場は、そのおよそ2割が上陸するお得意さまである。
読者の皆さんのほとんどにとっては釈迦(しゃか)に説法であることを承知のうえで、念のためもう一度ざっくりと背景を復習しておこう。
2015年に創立50周年を祝ったアルピナ(正式社名は創業者の名前を冠した「アルピナ・ブルクハルト・ボーフェンジーペンGmbH+Co.KG」)は、「BMW 1500」用のキャブレターの開発からスタートし、歴代のBMW各車をベースに極めて端正で高品質、そして高性能なセダンとクーペ(最近ではSUVラインナップも拡充中)をつくり続けてきたユニークな自動車メーカーである。今もチューニングショップと誤解している人もいるが、れっきとしたマニュファクチュアラーとして認められているうえに、BMW Mや、メルセデス・ベンツのブランドのひとつとしてグループ企業となっているメルセデスAMGとは対照的に、現在に至るまでアルピナはBMW本体との資本関係を持たない。それでいながらBMWとの深い協力関係を維持しているという実に珍しい位置を守り続けている。...